パッツ＆ホールは1988年にドナルド・パッツ氏とジェームス・ホール氏、アン・モーゼズ女史、へザー・パッツ女史の才能あふれる４人により設立されたシャルドネとピノノワールに特化したワイナリーです。

1980年代にナパのフローラ・スプリングスで働いていたアシスタント・ワインメーカーのジェームズ・ホールとナショナル・セールス・マネージャーのドナルド・パッツが親交を深めたことがきっかけで誕生しました。二人は、選び抜かれた葡萄畑から収穫された果実を伝統的な醸造技術をもってワインに変える手法に可能性を見出しワイン造りを始めたのです。

自社畑を持たずに設立当初から最高の畑を探し求め、ソノマ、ナパで有能なブドウ栽培者たちと長期的な関係を築く事に成功し、カリフォルニアの銘醸地それぞれの土地の個性を表現し、最大限生かすことを重視してワイン造りを行い、設立から10年もたたない1995年ヴィンテージのシャルドネでそれまでワインスペクテイターにおけるカリフォルニア・シャルドネ最高得点であった97点を獲得。瞬く間にカリフォルニアを代表する造り手にまで成長しました。

現在はカリフォルニア最高峰と称えられるラリー・ハイド、リー・ハドソン、マルティネリ、ピゾーニなどの果実を使用し素晴らしいワインを生み出し続けています。

パッツ＆ホールの醸造では伝統的な技術と最先端の技術の両方を用いていますが、特徴的なのは醸造に使用されるオーク樽です。

ある時、良質なオーク樽を求めて樽会社を訪問した際に面白いものを発見します。そこにはオーク樽ではなく樽を作る前の板状のものが並んでいました。そこに書いてあった名前は「ロマネ・コンティ」。何故、ロマネ・コンティと書かれたオーク板があるのか質問すると造り手の仕様に合わせて乾燥させてベストな状態で樽に加工すると知ったのです。

それ以来、パッツ＆ホールでもオーダーメイドの醸造樽の作成を始めました。現在は自分たちのワインに合うベストな樽で仕込む為にオーク板の状態で3年間乾燥させて偉大な葡萄に完璧に寄り添うオーク樽の調達に成功しています。この手法を採用している造り手はロマネ・コンティなど世界でも極僅かです。

カリフォルニアの偉大な畑と完璧なオーク樽を使用したワインは、スティーブ・タンザーより「凝縮し、層が厚く、ブルゴーニュ特有の複雑さが感じられる」、またアントニオ・ファローにからは「ヴォーヌ・ロマネやニュイ・サン・ジョルジュのワインを思い起こさせる」と濃厚さとブルゴーニュの様なエレガントさの両方を備えた味わいの評価を獲得しています。

カリフォルニアのグランクリュ”ピゾーニ・ヴィンヤード”の葡萄を使用した特別なワインです。

その昔、オーナーのゲイリー・ピゾーニがドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ（DRC）が所有するモノポール（単独所有）の畑”ラターシュ”から枝を切り取り隠し持って帰国し、自分の畑に株分けしピゾーニ・ヴィンヤードを作ったという逸話はあまりにも有名です。そのピゾーニから認められる僅かな造り手のみ、この葡萄を使用する事が許されています。