テキーラと言うと、罰ゲームや酔うためのイメージが強いでは?
実は、世界で飲まれているほとんどのテキーラは甘味がありスムースなものも多く、毎年消費量が増加している人気のアルコールです。
今回は、テキーラの度数、原料、種類といった基礎知識から、おすすめのテキーラ、正しいショットの飲み方までテキーラ・マエストロの視点でわかりやすく解説していきます。
テキーラとは?気になる度数や原料
テキーラの定義
テキーラ(Tequila)とはシャンパンやコニャックと同じように原産地呼称が世界で認められたお酒です。
テキーラと言う名称で呼ばれるには、いくつかの決められた条件があります。
・原材料のブルーアガベを51%以上使っている
・原産地呼称で決められたメキシコの5州(ハリスコ州、タマウリパス州、グアナファート州、ミチョアカン州、ナヤリ州)で作られたブルーアガベを使っている
・メキシコの5州(ハリスコ州、タマウリパス州、グアナファート州、ミチョアカン州、ナヤリ州)で蒸留
・単式蒸留機では2回以上蒸留
・最終的なアルコール度数が35度から55度
・メタノール(メチルアルコール)の値は3mg/ml以下
・NOM番号(蒸留所番号)がボトルに記載されている
これらの全ての条件を満たしたものだけが「テキーラ」と呼ばれます。
テキーラの度数
テキーラのアルコール度数は35%~55%までと規則で定められています。
なぜかテキーラ=アルコールが強いと思われている方も多いかもしれません。
実際には、ウォッカなど他のスピリッツよりも低めの度数のテキーラは多いです。
テキーラの原料
主原料は竜舌蘭の一種であるブルーアガベ(アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー)です。
メキシコではアガベ100%で作られているものが主流になります。
アガベ51%以上で作られているものは、サトウキビなどのモラセス(廃糖蜜)が混ぜられています。
テキーラをサボテンのお酒だと勘違いされている方もいますが、サボテンは糖分が少なくお酒には向いていません。
テキーラの味
日本国内では罰ゲームで「飲まされる」テキーラのイメージが一人歩きをしていて、とても苦くて飲みにくい味を想像されている方も少なくはないでしょう。
本来のテキーラの味はアガベ100%で作られていているものが多いため、作り方や熟成次第でまろやかでクリーミーで苦味のないテキーラもたくさんあるんです。
わざとタンニンの苦味や渋みを残すように作られた、ガツンとした味のテキーラもあります。
テキーラの産地
メキシコの5つの州(ハリスコ州、タマウリパス州、グアナファート州、ミチョアカン州、ナヤリ州)で生産が許可されているテキーラですが、全体で158ヶ所(2020年1月時点の数)ある蒸留所のほとんどがハリスコ州に集結。
ハリスコ州の中でも2つのメインの生産地、西側のバジェス地方と東側のロスアルトス地方についてご紹介します。
バジェス地方
バジェス地方はテキーラ作りの歴史が250年以上あり、伝統的な作り方や味わいのものがほとんどです。
世界遺産にも登録された「テキーラの古い産業施設群とリュウゼツランの景観」があることでも知られています。
テキーラ造りにおいて、最古のテキクエルボ蒸留所もこのバジェス地方にあります。
ここで作られるテキーラの味わいはテキーラらしいビターでスパイシーなのが特徴。
ロスアルトス地方との味の違いは、使われるアガベのサイズ(小さめ)と、蒸留前のカットの段階で苦味のある芯の部分(コゴージョ)をあえて一部残しているためです。
・サウザ
・エルドゥーラ
ロスアルトス地方
歴史は約90年と比較的新しく、テキーラ業界に革命をもたらしたのはロスアルトス地方だと言えます。
口当たりがスムースで甘味が強いテキーラが特徴で、主に使われているアガベのサイズが大きく糖分が高いものが多いことからです。
バジェス地方と違って苦味のあるコゴージョ(アガベの芯)は全て取り除いてから蒸留しています。
ビターな味が苦手な方や、罰ゲームのイメージしかない方はぜひロスアルトス地方のテキーラを選んでみてください。
奥深い甘味が感じられるテキーラを味わえば、きっと悪いイメージ払拭されるはずです。
・ドンフリオ
・カサドレス
原料によるテキーラの種類
テキーラには主に2種類にわけられます。
100%アガベテキーラ(100% AGAVE TEQUILA)
ブルーアガベ100%で作られているテキーラをプレミアプテキーラと呼びます。
メキシコ国内では生産されいるテキーラのほとんど、そして世界のテキーラの半数以上はプレミアムテキーラです。
トゲがなく 飲みやすいので、ショット以外にロックで飲まれることも一般的です。
ワイングラスに入れると香りやアロマがとても豊に感じられるので、より美味しく味わうことが可能です。
カクテルのベースにも使われています。
テキーラに苦手意識がある方にはぜひ味わっていただきたいのがプレミアムテキーラです。
テキーラ(TEQUILA)
日本国内で流通しているテキーラのほとんどがテキーラです。
テキーラはアガベ51%以上とモラセス(廃糖蜜)が混ぜられています。
そのため、100%アガベテキーラのものより価格がリーズナブルでどこでも購入しやすいです。
日本のBARなどでテキーラショットを注文したり、罰ゲームのイメージがあるものはほとんどがアガベとモラセスが混合したテキーラでしょう。
リーズナブルなテキーラをショットで飲む場合は完全に冷やした状態のものだと、飲むときに苦さが和らぎますよ。
熟成年数によるテキーラの種類
100%アガベテキーラのボトルには熟成期間の違いが表記されています。
主に4種類あり、樽熟成期間によって価格や味わいが変わりますよ。
ブランコ
シルバーと表記されることもあり、樽熟成がないかまたは60日未満。
見た目は透明で、味はフレッシュでアガヴェが感じられるのが特徴です。
カクテルベースに一番使いやすいベーシックなテキーラと言えるでしょう。
レポサド
最低60日以上の樽熟成。
レポサドはスペイン語で休ませると言う意味があり、まさに樽の中で少し休ませたテキーラです。
樽由来のバニラの風味をほんのり感じられる、ブランコよりもまろやかな味わいがあります。
フレッシュさと甘さのバランスが良い熟成度合いなのので、レポサドを好む方も多いです。
アネホ
最低1年以上の樽熟成。
見た目はウイスキーに近いほどのブラウンカラーです。
樽熟成のバニラ感が強く感じられ、まろやかでスムースな味わい。
ビターな味などが苦手な方におすすめのテキーラです。
エクストラアネホ
最低3年以上の樽熟成。
テキーラの中で一番の高級品で、値段も高めです。
樽の風味がしっかりと着いているため甘みを感じられ、ゆっくりと味わいたいお酒です。
オンザロックかストレートで特別な日にぴったりなテキーラでしょう。
テキーラは熟成期間だけではなく熟成させる樽もテキーラごとに違うため、新樽、ウイスキー樽、ワイン樽などどれが使われているかで完成した時の味や見た目がかなり変わってきます。
おすすめのテキーラ10選
バジェス地方のおすすめテキーラ
クエルボ 1800 アネホ
クエルボ 1800 アネホ
一番歴史のある言わずと知れたクエルボ蒸留所、そのクエルボの人気商品の1つ。
ミクストのクエルボとは全く違う味わいに驚く方も多いでしょう。
特に1800(ミルオチョシエントス)のアネホはまろやかな口当たりと、バニラやキャラメルの甘い風味が特徴です。
サウザ ブルー
サウザ ブルー
クエルボに並ぶバジェス地方の老舗ブランドのSauza。
日本で売られているテキーラの中でサウザシルバーは有名ですが、このサウザブルーは100%ブルーアガベで作られている正統派テキーラです。
アガベ100%なのにお値段がリーズナブルなので気軽に購入できます。
フレッシュなアガベの味わいを残しているのがサウザ蒸留所の特徴です。
エラドゥーラ プラタ
エラドゥーラ プラタ
メキシコで人気のブランドで、非常にバランスが良いフレッシュさやビターさが特徴。
樽熟成が必要ではないブランコですら40日ほど熟成させるので、しっかりした味わいがあります。
テキーラ好きには特に定番のブランドです。
オレンダイン ブランコ
オレンダイン ブランコ
今回10種類紹介するテキーラの中で唯一の普通のテキーラ(アガベ100%ではない)です。
テキーラを作っている蒸留所の中ではクエルボやサウザに並ぶほどの老舗。
スッキリとしているので、カクテルのベースとしても人気です。
カサノブレ クリスタル
カサノブレ クリスタル
超有名ギタリストカルロス・サンタナがオーナーのテキーラです。
オーガニック栽培のアガベを使い、かなり拘って作られていることで知られています。
ボトルの美しさも人気の秘訣です。
ロスアルトス地方のおすすめテキーラ
ドン フリオ レポサド
ドン フリオ レポサド
言わずと知れたプレミアムテキーラの先駆者でもあるフリオ氏によって作られたテキーラです。
レポサドなのにバーボン樽で8ヶ月も熟成させています。
クリーミーでスムースな飲み口で、世界中で大人気のテキーラです。
パトロン シルバー
パトロン シルバー
マライア・キャリーの歌を始めとして、数多くの洋楽の歌詞に登場する「パトロン」
ハリウッドを始めとするセレブにも人気のテキーラです。
シルバーはフレッシュで軽やかな味わいが特徴です。
カーサミーゴス レポサド
カーサミーゴス レポサド
「ジョージ・クルーニーのテキーラ」として知られている通り、ラベルの左下にGeorge Clooneyとサイン入りです。
セレブが手掛けるテキーラと言うだけではなく、そのおいしさから大人気になり一時期入手が困難になるほどです。
味わいは非常にフルーティーで滑らかで甘みを感じられます。
テキーラの苦味が苦手な方でもおいしく飲めるテキーラです。
ドン アルバロ ブランコ
ドン アルバロ ブランコ
最近人気のオーガニックテキーラの1つです。
アガベの味をダイレクトに感じられるフレッシュさが特徴。
オーガニックらしい味わいながらも、苦味はほぼなく飲みやすいです。
アハ・トロ ディーバ ブランコ
アハ・トロ ディーバ ブランコ
テキーラとしては珍しいブランコをワイン樽で2ヶ月熟成させたお酒です。
ワイン樽由来のピンク色で、ボトルも可愛いことから女性にも人気。
ワイン好きの方にはぜひ味わっていただきたいテキーラです。
テキーラショットの正しい飲み方
塩→テキーラ→ライム
メキシコの伝統的な飲み方は、まず塩を舐めてからテキーラを飲み、その直後にライムをかじるのが古くから一般的とされています。
塩にはテキーラの甘みを増幅させてくれる効果があるので、より一層おいしく感じるでしょう。
おすすめは、まず手の甲をライムで少し湿らせ、その上に塩乗せ、手の甲から塩を舐めてテキーラを飲み、直後にライムをかじる飲み方です。
ライムの代わりにレモンを好む人もいます。
由来
この飲み方は、昔インフルエンザがメキシコで流行した際に、地元の医師が処方箋に「塩、テキーラ、ライム」と書いて患者に渡したことがきっかけと言われています。
(その他、諸説あります。)
テキーラの美味しい飲み方
オンザロック
海外では100%アガベテキーラをロックで嗜む人が多く、数多くのテキーラを愛飲しているセレブたちもロックを好んでいます。
ブランコなどはロックで飲むとさらにフレッシュな味わいなので、食事合わせても料理の邪魔をしません。
海外では日本の伝統的なお寿司とテキーラのロックを合わせる方もいますよ。
レポサドやアネホのロックは、食後にゆっくりと味わって飲むのがおすすめです。
テキーラのカクテル
マルガリータ
世界的にも一番知られているテキーラのカクテルです。
グラスの周りの塩と一緒に味わうと甘さが増します。
<材料>
・テキーラ 30ml
・ホワイトキュラソー(トリプルセック) 15ml
・フレッシュライムジュース 15ml
フローズンマルガリータ
夏に大人気のマルガリータのフローズンカクテルです。
ストロベリー、マンゴー、スイカなどいろいろなアレンジやバリエーションもあります。
マルガリータの材料にクラッシュアイスを加えてブレンダーで混ぜるだけです。
パローマ
実はマルガリータよりもメキシコで一番飲まれている人気カクテルです。
<材料>
・テキーラ 30ml
・グレープフルーツジュース 30ml
・ソーダ 60ml
・お好みで塩少々
メキシカンモヒート
キューバ発祥のラムのモヒートのメキシコテキーラバーションです。
甘みがあるのにミントがフレッシュに感じさせてくれる、夏にぴったりのカクテルと言えるでしょう。
<材料>
・テキーラ 40ml
・アガベネクター(シュガーシロップ) 15ml
・ソーダ 適量
・ミント 適量
・ライム 1/2個
さいごに
テキーラは世間のイメージよりも古い歴史があり、知れば知るほど奥深いスピリッツの1つです。
テキーラの人気は年々世界的にも増していて、日本に輸入される種類も増えてきました。
昔から数多くのセレブがテキーラ好きを公言していて、普段から愛飲している方も多くいます。
例えば、ジョージ・クルーニー、ジャスティン・ティンバーレイク、アダム・レヴィーン(Maroon 5)、ザ・チェインスモーカーズ、イーロン・マスクなどは、自身でテキーラをプロデュースしてしまうほどのテキーラ愛好家。
苦手意識のある方やあまりテキーラのことを知らない方も多いでしょうが、これを機においしいと思えるテキーラに出会っていただきたいです。
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