日本酒好きなら知らない人はいないであろう「一ノ蔵。」
種類がたくさんあるため、好みの品を見つけやすいのも魅力。
しかしながら、たくさんあり過ぎてどれを選べばよいか迷ってしまう方も多いのでは。
そこでこの記事では、「一ノ蔵」を厳選してご紹介。
日本酒通の方はもろん、初心者にもおすすめの銘柄を紹介していきます。
日本酒「一ノ蔵」の特徴とは?
【特徴1】四つの酒蔵が合併してできた「一ノ蔵」で製造している
「一ノ蔵」を製造しているのは、宮城県の株式会社一ノ蔵です。
一ノ蔵の創業は1973年。
宮城県内の浅見商店、勝来酒造、櫻井酒造店、松本酒造店の4つの酒蔵が合併して誕生。
力を合わせて唯一無二の酒蔵を造ろうという想いから「一ノ蔵」と名付けられました。
当時は大手日本酒メーカーの勢いが強く、小さな酒蔵は経営困難に陥っていました。
そこで、老舗の小さな酒蔵4社が「大手には安さでは勝てない。品質で勝負をしよう」と手を取り合うことに。
それぞれの蔵を閉じ、新会社を設立しました。
最初は売上がなさすぎて、役員報酬すら出ない時期もあったそう。
売上がなさすぎて、仙台の歓楽街に行き、全社員でローラー営業を行なったこともあるようです。
そうした努力が実り、1977年に特級酒レベルの酒2級「一ノ蔵無鑑査本醸造」が全国に広まりました。
本来であれば1級レベルの品でしたが、当時は等級によって税金がかけられていました。
そのため、2級酒の場合、1級酒に比べて税金が安くなり、販売価格を下げることができるため、あえて2級としてリーズナブルに販売。
そこから一ノ蔵の躍進が始まり、全国に広がっていきました。
【特徴2】世界農業遺産に指定された土地で製造
一ノ蔵の本拠地である宮城県大崎市松山町は古くから、稲作など農業の盛んな土地。
世界農業遺産にも指定されています。
そんな松山町ですが、1993年の記録的な冷害をきっかけに、一ノ蔵は地元の農業をもっと盛り上げていこうと農家と協力して「松山町酒米研究会」を立ち上げ。
環境保全米の生育を開始しました。
その後、一ノ蔵農社を設立。
現在は17ヘクタールの田んぼを自社で作農しています。
農業研究を重ね、農家へと情報を共有を行い、最近では「一ノ蔵に休耕田を任せたい」という農家も増えてきているそうです。
地元と共に歩んでいこうという姿勢は、創業時代から今もずっと変わらず受け継がれています。
【特徴3】東京・大阪・札幌・福岡・名古屋で試飲会を開催している
一ノ蔵では年1回東京、大阪、札幌、福岡、名古屋にて試飲会を開催しています。
会費は大体5000円ほど。
一ノ蔵のさまざまな銘酒と、料理とを合わせて楽しむことができます。
それだけでなく、製造・原材料などを詳しく聞くこともできるようです。
まさに、「蔵元の顔が見える日本酒を」という一ノ蔵の想いが詰まった会。
ただ残念ながら、コロナ禍ということで2022年はオンラインで実施される予定です。
【特徴4】原料は宮城県産米
一ノ蔵では「宮城県産米で、銘酒をつくる」を創業以来のモットーとしています。
「蔵の華」「ササニシキ」「ひとめぼれ」など、宮城県産米を使用。
テロワールを大切にすることも、酒蔵の使命。
つまり、宮城県の気候・風土・米・水・人、すべてを盛り込んだ酒造りを行うのが一ノ蔵なのです。
【特徴5】口当たりが軽く、日本酒が苦手な方にもおすすめ
従来の日本酒というと、淡麗辛口で苦味があるなど個性が強いイメージもありました。
しかしながら、一ノ蔵は口当たりが軽く日本酒が苦手な方もお楽しみいただける一品。
メロンのような甘酸っぱさと米の甘味とのバランスが絶妙です。
喉越しも爽やかで、飲み飽きることもありません。
シーンや人を選ばずにお楽しみいただける、万能酒と言えます。
【特徴6】微発泡の日本酒「すず音」で女性ファンも掴む
一ノ蔵は創業以来、「米の秘めた可能性を、伝統的な清酒だけに留めず常に探っていこう」と挑戦し続けています。
例えば、今でこそ微発泡の日本酒はたくさんありますが、その一番手となった銘酒が「すず音」。
今まで日本酒を敬遠していた、若い女性ファンを掴むことに成功しました。
加えて、ファン層をもっと広げていきたいという酒蔵の強い想いから、低アルコール銘柄なども製造。
販売先は海外にまで広がり、1980年代から輸出を開始しています。
選び方
【選び方1】期間限定酒か定番酒かで選ぶ
「一ノ蔵」には通年販売されている定番酒と期間限定で販売されている銘柄があります。
例えば、季節限定で販売されている品の中には「一ノ蔵 特別純米生原酒しぼりたて」や「一ノ蔵 特別純米酒ひやおろし」があります。
限定商品なので入手困難ではありますが、日本酒好きの方へのプレゼントなどにはピッタリでしょう。
【選び方2】日本酒のタイプで選ぶ
一ノ蔵の日本酒はタイプも多種多様。
例えば、スパークリングタイプや酒精強化タイプなどさまざまです。
同じ蔵元で作られているはずなのに、こんなにも違うのかとビックリされるはず。
飲み比べを楽しめるのも、一ノ蔵の魅力の一つですね。
【選び方3】甘口か辛口かで選ぶ
日本酒は”日本酒度”によって、甘口・辛口かを選別されています。
日本酒度とは、アルコール発酵がどれぐらい進んでいるかを指し示した指標。
一般的に、プラス(+)の数字が大きいほど、糖がアルコールに変化した量が多く、味は淡麗辛口。
一概には言えませんが、マイナス(-)が記載されていれば甘口、プラス(+)5より大きい値が書かれていれば、辛口と判断できるでしょう。
とはいえ 、日本酒の味はアミノ酸度やアミノ酸などさまざまな要因によって変わります。
あくまで、指標の一つとして捉えておきましょう。
一ノ蔵のおすすめ銘柄
ここからは編集部が厳選したおすすめ銘柄を紹介。
季節限定でなかなか入手困難な銘柄から、比較的手に入りやすい定番の品まで幅広く厳選しました。
10位 一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口
一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口
「無鑑査」は、一ノ蔵が有名になったきっかけの品。
日本酒を級別に分けて課税をかけていたころ、質の良い日本酒をリーズナブルに楽しんで貰うためにあえて「無鑑査」で、販売されたことから命名されました。
キリッとした辛口ながら、ほんの少しだけ口に残る甘さのバランスが絶妙。
日本酒好きの方に、おすすめしたい逸品です。
9位 一ノ蔵 特別純米生原酒 しぼりたて
一ノ蔵 特別純米生原酒 しぼりたて
冬に販売される一ノ蔵の新酒の純米酒です。
宮城県産米ササニシキを100%使用。
精米歩合は贅沢に55%と、吟醸酒並みです。
グラスを近づけるとオレンジのようなフレッシュな香りがフワリと立ちます。
そこに、ササニシキ独特の甘みがバランスよく調和。
喉越しのキレも非常に良く、飲み飽きることがありません。
8位 一ノ蔵 すず音 発泡清酒
一ノ蔵 すず音 発泡清酒
グラスに注いだとき、上ってくる小さな泡の様子から「すず音」と名付けられました。
この泡は、瓶の中に酵母とショ糖を入れて再度発酵させることで生まれました。
米の柔らかな甘みと、炭酸のスッキリした味わいが重なり喉越しも爽やか。
最近流行りになってきた、スパークリング日本酒の先駆けです。
絞った果汁などを少し垂らせば、カクテルとしてもお楽しみいただけるでしょう。
7位 一ノ蔵 特別山廃純米酒 円融
一ノ蔵 特別山廃純米酒 円融
「環境保全米」という農薬や化学肥料をできる限り使用しないで栽培した米を使った、山廃仕込みの日本酒。
醸した酒を1年樽で寝かせているので、奥深く濃厚な味わいが楽しめます。
そこに山廃仕込みの独特の香りと酸味が加わり、すべてを包み込む一品。
まさに「円融」を体現している銘酒です。
ぜひ、50℃ぐらいの熱めの燗で召し上がって下さい。
6位 一ノ蔵 ひめぜん
一ノ蔵 ひめぜん
こちらのアイテムは、従来の日本酒の常識を翻した逸品。
ゆずのような爽やかな香りと酸味がバランスよくハーモニーを奏でています。
アルコール度数も8%と低く、女性にも人気。
日本酒が今まで苦手だった方にもおすすめできる銘酒です。
5位 一ノ蔵 特別純米酒ひやおろし
一ノ蔵 特別純米酒ひやおろし
9月より販売が開始になる季節限定の商品。
一般的に日本酒は冬から春先にかけて造られます。
「ひやおろし」は春に醸した酒を一度だけ加熱処理を行い、2回目の火入れをせず、一夏涼しい場所で寝かせて秋に出荷。
秋が旬の料理と相性抜群です。
例えば、サンマやキノコと一緒にご堪能下さい。
4位 一ノ蔵 Madena 酒精強化清酒
一ノ蔵 Madena 酒精強化清酒
世界3大酒精強化ワインである、マデイラ・ワインの製法を基にして造られた日本酒。
マデイラ・ワインは、アルコールを添加し、あえて途中で発酵を止めます。
これを「酒精強化」と呼びます。
この酒精強化により糖が残り、非常に甘いのが特徴。
一ノ蔵Madenaは、その手法を応用しています。
異なるのは、酒精強化してから加熱熟成をしている点。
しかも一ノ蔵Madenaは、宮城県大崎市の鳴子温泉の温泉熱を使用して加熱熟成を行なっています。
その後、3年以上熟成させてようやく出荷。
一味違った日本酒を召し上がりたい方に、おすすめです。
ぜひ15℃ぐらいまで冷やし、シェリーグラスでご堪能下さい。
ブドウのような甘みと、焼きリンゴの香りをお楽しみいただけると思います。
3位 一ノ蔵 特別純米酒 樽酒
一ノ蔵 特別純米酒 樽酒
一ノ蔵を代表する純米酒「一ノ蔵 特別純米酒辛口」を杉樽に入れて寝かせ、杉香をたっぷり含んだ逸品です。
淡麗辛口な味わいと、杉由来の白檀のような上品な香りが見事に調和。
飲み口もさっぱりしているので、飽きません。
「全米日本酒歓評会」で金賞を獲得するなど、世界に認められた銘酒です。
少しだけ温めるとますます、香りが華開きます。
温めて、繊細かつ上品な杉香をどうぞ。
2位 一ノ蔵 大吟醸
一ノ蔵 大吟醸
原料に酒米の王様、山田錦を使用。
精米歩合40%まで磨きあげているので、雑味が出ません。
大吟醸らしい果物のような香りと、フレッシュな味わいが特徴。
喉越しもサラリとしており、ベタつきません。
限定酒ゆえに、売り切れていることもありますが、日本酒好きの方ならぜひ一度は飲んでみたい一品です。
1位 一ノ蔵 純米大吟醸 笙鼓
一ノ蔵 純米大吟醸 笙鼓
酒米の雄山田錦を、精米歩合35%までに磨きあげられた贅沢な逸品。
この銘柄だけのために少量を仕込み、低温でゆっくり時間をかけて醸されています。
口に含むとメロンのような甘酸っぱさが広がり、静かに消えていきます。
気品あふれる日本酒。
自分へのご褒美はもちろん、日本酒通の方へのプレゼントにもおすすめです。
購入方法
【方法1】店舗で購入する
一ノ蔵は今や有名になったので、日本酒を販売しているお店なら簡単に購入することが可能。
酒販店だけでなく、コンビニやドラッグストア、家電量販店などで販売されていることも。
しかしながら、銘柄によっては限定品など取り扱っていない場合もありますので、問い合わせてみて下さい。
【方法2】ネットで購入する
一ノ蔵はネットで購入することもできます。
地域限定品などの銘柄も、ネットでは購入できる場合があります。
けれどもネットでは、価格が少し高めになっていることも。
そのあたりを留意し、ご予算に応じて探してみて下さい。
相性の良いおつまみ
【おつまみ1】蕎麦
蕎麦屋では必ず日本酒を見かけると思いますが、これは江戸文化の名残り。
関東では江戸時代から、蕎麦屋で日本酒を飲む習慣がありました。
江戸の庶民に大人気の蕎麦に目を付けた酒屋が、日本酒と一緒に提供するようにすすめたのが始まりと言われています。
当時、蕎麦は作り置きをせず、オーダーを受けてから調理し始めていました。
客は提供されるまで待っていなければなりません。
きっとクレームもあったのでしょう。
困った店主は、酒屋からすすめられた日本酒を先に出すことに。
これで客は、蕎麦ができ上がるまでの退屈な時間を埋めることができるようになったのです。
一ノ蔵も喉越しが良いので、蕎麦の甘みや香りを邪魔しません。
江戸っ子のように、蕎麦と一緒に楽しむのにぴったりな日本酒と言えるでしょう。
【おつまみ2】宮城県郷土料理「サンマのきがき」
宮城県は豊富に魚が採れる優良な漁場。
なかでも、サンマやマグロなどの回遊魚や、イワシ・カジキなどがよく採れます。
地元の方はこのような郷土料理と地酒である一ノ蔵を合わせて楽しんでいるそう。
宮城の郷土料理である「サンマのきがき」レシピをご紹介しますので、ぜひ一緒に楽しんでみてください。
「サンマのきがき」レシピ
1.サンマの内臓と頭を取り除く
2.長ネギを斜めに細かく切る
3.大根を細めにおろす
4.鍋におろした大根、サンマの順に入れ煮る
5.サンマに火が通ったら醤油、酒、少量の砂糖を入れ弱火で再度煮る
6.10分程煮て大根がしなって来たら器に盛り付け、長ネギで彩る
まとめ
一ノ蔵はラインナップが豊富な日本酒。
口当たりが軽やかなため、日本酒が苦手な方にもおすすめです。
微発砲の「すす音」など、女性ファンが多い銘柄も取り揃えています。
そして、酒販店だけでなく、コンビニやドラッグストア、家電量販店などで販売されているほど、比較的入手しやすい日本酒です。
蕎麦やレシピをご紹介した「サンマのきがき」などと一緒に召し上がってみてくださいね。
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