日本のグレーンウイスキーと言えば、サントリーの「知多」。
俳優の佐藤健さんがCMを務めることでご存知の方も多いのでは?
今回は、そんな知多のこだわりや人気の理由から、値段、美味しい飲み方をご紹介します。
知多とは
知多とは2015年にサントリーから発売されたグレーンウイスキーの銘柄です。
ラインナップは、1種類のみです。
それまではサントリーの蒸留所内で「知多蒸留所特製グレーン」という名称で限定販売していました。
2013年、ニッカウヰスキーが「ニッカカフェグレーン」を発売すると、追撃するかのようにグレーンウイスキー市場に参入。
翌年の2014年には「知多蒸留所」という名のウイスキーが限定販売されます。
現在でも知多蒸留所内で蒸留されたグレーンウイスキーのみをブレンドして出荷されています。
知多蒸留所
サントリー知多蒸留所は愛知県知多市、伊勢湾に臨む知多半島に位置しています。
周辺は大手企業などの工場が密集する工業地帯です。
グレーンウイスキーを作る際には連続式蒸留機などの大規模な設備が必要とすることからこの地に蒸留所を建設したと言われています。
以前はサントリーの発売するブレンデッドウイスキーに使用されるグレーン原酒を製造する蒸留所として稼働していました。
知多の評価
現在販売されている「知多」でのコンテストの受賞はありません。
愛知県限定で発売された「知多蒸留所」がISCにおいて金賞を受賞しています。
※ISC=インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ、イギリスの雑誌が主催する世界的なスピリッツの品評会
過去に何度も国際的なコンペティションで上位入賞を果たしている「響」から見ても、「知多」の高いポテンシャルが感じられます。
専門家からも、ハイボール部門などの評価基準があれば、上位での入賞も狙えるのではと言われています。
知多の特徴やこだわり
知多の原料
主な原料として、コーンやライ麦、小麦などが使われています。
モルト(麦芽)も副原料として使用されていますが、これは穀物原料を糖化する際、モルトの持つ糖化酵素を利用するためです。
そのため、モルトウイスキーの主原料となる2条大麦麦芽ではなく、より糖化酵素の働きの強い6条大麦麦芽が使われています。
連続式蒸留機
サントリー知多蒸留所で蒸留に使われる設備は、連続式蒸留機が採用されています。
モルトウイスキーなどに使用される単式蒸留器(ポットスチル)と比べると、より純度の高いスピリッツが得られることが特徴です。
その影響もあり、熟成して出荷される製品は軽快で爽やかな酒質を持つウイスキーになります。
多様なグレーン原酒
知多蒸留所最大のこだわりは、グレーン原酒の多様性を求めて蒸留していることです。
より品質の高いグレーン原酒をブレンドするために、それぞれ酒質に変化を出した3種類のスピリッツを蒸留。
その後熟成させる際も個性の強い順に赤ワイン樽、スパニッシュオーク、アメリカンオークと3種類の樽材に分けて熟成させています。
それをブレンドすることによって得られる原酒は数えきれないほどの組み合わせが可能です。
そのなかから最良のブレンドレシピを経て製品化されます。
「知多」はここまで手をかけることによって、サイレントウイスキーと呼ばれるグレーンウイスキーを、高品質な一本へと昇華させて市場へ送り出しています。
人気の理由
2015年の販売開始から瞬く間に国民的ウイスキーとして認知された「知多」ですが、その人気の背景についてご紹介します。
ハイボールのためのウイスキー
現在、ハイボールが一般的な食前酒として浸透していることが大きく関係しています。
以前は飲み会の際には「とりあえず生」というのが主流だったと思います。
現在では一杯目からハイボールを、という方も見かけるようになってきました。
その流れで、多くの方は飲みやすさや酒質の軽さ、喉ごしなどをハイボールに求めてくるようになります。
「知多」はそんなハイボールでの提供に狙いをすまし、商品開発されました。
そのため、スコッチなどのモルトウイスキーや、バーボンよりも味わい、コンセプトともに日本の顧客ニーズに合致し、人気が出たのです。
ブランディング戦略
「知多」というネーミングについても言及させて頂きます。
今までサントリーを含めた日本のウイスキーメーカーの多数では「漢字を使った銘柄=高級路線」というマーケティングを展開していました。
(山崎、響、竹鶴など)
そのなかで比較的安価に、安定的に供給できるウイスキーにも漢字での銘柄名を付けて販売したことが消費者の購買意欲に火をつけます。
上記のような世間の情勢に合わせた経営戦略と、こだわり抜いた製法によって得られた高品質な味わい、この2点が「知多」を現在の地位まで押し上げたと言えます。
知多の定価と価格相場
他のジャパニーズウイスキーは品薄によって価格高騰が起きている銘柄もありますが、知多は定価に近い値段で取引されています。
知多 700ml
サントリー 知多 700ml
メーカー希望小売価格は3,800円です。
ネットでの価格相場は税込み3,400円~4,000円になります。
知多 180ml
サントリー 知多 180ml
メーカー希望小売価格は1,030円です。
ネットでの価格相場は税込み1,600円前後になります。
知多のハイボール
「知多」はハイボールとして美味しく楽しめるウイスキーというコンセプトで作られています。
「風香るハイボール」というフレーズのCMでもお馴染みです。
連続式蒸留機を使った軽い飲み口、原酒を作り分けることによって表現されている複雑な味わいが特徴になります。
コーンや小麦由来の優しい甘さ、ライ麦のオイリーでスパイシーな味わいを気軽に楽しめるハイボールが作れます。
美味しい作り方
モルトのウイスキーですとウイスキー:ソーダ=1:3程度で、少し濃く作った方がより味わいが楽しめると思います。
ただし、知多のようにハイボールとしての飲み口の良さを求めたウイスキーの場合、1:3.5程度の割合で爽やかに召し上がって頂いた方が、本来の美味しさを楽しめのでおすすめです。
氷は純氷をつかった方が美味しく仕上がります。
炭酸についてですが、「知多」に関してはプレミアムソーダなどよりも、一般的に売られている強めの炭酸水の方が相性が良いです。
簡単アレンジレシピ
通常のハイボールが飲み飽きてきたという方にお勧めさせて頂きます。
「知多」とハイボール用のグラスを冷凍庫に入れて凍るくらいの勢いで冷やします。
その「知多」と炭酸を冷えたグラスに1:3.5の割合で注ぎ、かき混ぜずにレモンの皮を少しだけ絞ってグラスの中へ落としてください。
「知多」の味わいと、さわやかさがより楽しめると思います。
他にもハイボールにショウガの絞り汁やゆず、山椒を効かせるなど、和のテイストとの組み合わせもおすすめです。
さいごに
ウイスキーの世界の中でも日本国産のウイスキーは特に高い注目を集め続けています。
モルトウイスキーだけではなく、時には国産ウイスキーを支える陰の立役者である「知多」にスポットを当ててみてください。
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