福島県が実は 全国をリードする日本酒の技術大国であることをご存知でしょうか?
今回の記事では、福島県の日本酒の特徴や選び方、おすすめの銘柄についてご紹介していきます。
福島の日本酒は金賞受賞数が最多
福島県は全国新酒鑑評会にて、7年連続での金賞受賞数全国トップを達成しています。
全国新酒鑑評会とは、国立の研究機関「酒類総合研究所」が主催する日本酒の審査会。
鑑評会に出品された日本酒の中でも、優れた品質の銘柄は「入賞酒」となり、特に品質の高いものは「金賞酒」として選ばれます。
2018酒造年度の鑑評会で福島県は22点もの金賞酒を獲得し、これにより7年連続の金賞最多受賞の偉業を成し遂げました。
ここまでの受賞実績を持つ都道府県は他に無く、今や福島県は全国の酒蔵から注目を集める日本酒の技術大国となっているのです。
福島の日本酒の特徴は?
全国新酒鑑評会で何度も金賞受賞を果たしている福島県の日本酒。
いったいそこにはどんな特徴があるのか、ここで解説していきたいと思います。
400年の歴史を持つ酒造り
福島県の酒造りは江戸時代の会津から始まったとされています。
会津松平家の世になると、会津では藩としての酒造りが奨励されました。
米どころの福島県では良質な日本酒がたくさん造られるようになり、松平家の財政を支える大きな政策の柱となります。
明治時代に入ってから日本酒の作り手は行政から民間へと移り変わりました。
技術者を招いて醸造技術を改善したり、技術や情報をオープンにして近隣の酒蔵と共有したりと、民間に酒造りが移ったことで県内の日本酒造りが活性化。
この古くからある酒造りの伝統と、新たな技術を探求し地域で共有しようとする姿勢が今日の福島県の日本酒を生み出しているのです。
透明感のある甘口な味わい
福島県の日本酒はクリアで透き通った甘口の味わいがあります。
各エリアによって微妙な味の違いはありますが、全体的に親しみやすく軽やかで飲みやすい酒質が特徴です。
また、伝統的な酒造りを行う老舗の酒蔵が多い中、若手の酒蔵も次々に台頭しています。
そのため現代的で新しい味わいの日本酒造りも盛んで、この温故知新な体制が全国新酒鑑評会での金賞獲得を実現しているのです。
山廃仕込みを考案
「山廃仕込み」とは日本酒の昔ながらの仕込み方法のひとつで、日本酒に独特の風味とコク深さを与える特徴を持っています。
この山廃造りは明治時代の会津地方で考案されました。
山廃仕込みの前身である「生酛(きもと)仕込み」には、酒母と呼ばれる日本酒のもとを造る際に蒸米を棒ですり潰す「山卸し」の工程がありましたが、その造り手の重労働が問題に。
そこで当時の会津では、この山卸しの工程を思い切って廃止する取り組みが現れました。
すると完成した日本酒は生酛造りと大きく変わらない味わいであったため、山卸しを廃止した「山廃」という日本酒造りが会津で確立されたのです。
福島の日本酒の選び方
福島県の日本酒は品質が高く、飲みやすい銘柄が多くあります。
その中でも特に好みの日本酒を飲めるように、ここで福島県の日本酒の選び方をチェックしていきましょう。
甘口・辛口
甘口
福島県の日本酒はすっきり甘口なタイプが多くあります。
しかし、すべての日本酒が甘口というわけではないので、甘口が飲みたいという方は注意が必要です。
甘口な日本酒を選びたい場合は「日本酒度」をチェックしましょう。
日本酒度とは日本酒に含まれる糖度をプラスマイナスと数値で表す指標で、日本酒度がマイナスになるほど甘口な味わいとなります。
はっきりと甘味を感じる日本酒を選びたい場合は、日本酒度-5程度が目安となりますので参考にしてみてください。
日本酒度は酒瓶の裏ラベルや酒蔵HPなどから確認できます。
辛口
福島県の日本酒は甘口タイプが多いと述べましたが、地域によっては辛口の日本酒も造られています。
辛口の日本酒を選ぶ際にも「日本酒度」の値を確認するといいでしょう。
日本酒度がプラスになるほど辛口な味わいとなるので、辛口の日本酒を選ぶ場合はプラスの数値が高い銘柄を選ぶようにしましょう。
産地(会津・中通り・浜通り)
【会津】豊潤でやわらかな味わい
会津は山や水源などの自然が豊かな、福島県の日本酒造りの中心地です。
酒造りの歴史も深く伝統的な蔵元がありながらも知名度の高い若手酒蔵も少なくありません。
会津の日本酒はふくよかで旨味溢れるフルーティーな味わいの銘柄が多い傾向にあります。
【中通り】こだわりを感じる個性的な酒造り
福島市や郡山市などを含む福島の主要な都市部である中通り。
こちらの地域では酒米の自家栽培や無農薬栽培、伝統的な生酛・山廃仕込み、蔵付きの自然酵母など日本酒に個性を出すこだわりを持った造り手が多くいます。
そのため中通りの日本酒は味わいがひと味違うユニークなものが多いです。
【浜通り】県外に出回らない地酒が豊富
太平洋側に面する浜通りは、会津・中通り地域と比べて酒蔵はかなり少なくなります。
生産量が少ないうえに地元で消費される地酒がほとんどなので、浜通りの酒蔵の日本酒は希少価値が高いと言えるでしょう。
浜通りの日本酒は海の幸に良く合う軽い口当たりながら、旨味もしっかりと感じられる味わいが特徴です。
金賞受賞の日本酒を選ぶ
冒頭にも述べたように、福島県は全国新酒鑑評会にて2012年から7年連続で最多の金賞酒を獲得しています。
鑑評会には全国選りすぐりの日本酒が約800点ほど出品され、その中で入賞酒として選ばれるのは400銘柄ほど。
さらにそこから金賞を受賞できるのは200銘柄だけです。
もし福島県の日本酒を飲むのなら、やはり日本酒の研究機関が認めた高品質な金賞受賞酒を飲みたくなりますよね。
とにかく美味しい福島の日本酒を飲みたいという方は、鑑評会で金賞を受賞した酒蔵の日本酒を選んでみてください。
福島の日本酒ランキング10選
それでは最後に福島県のおすすめ日本酒をご紹介します。
福島県の日本酒はどれも飲みやすいですが、甘味や酸味、旨味などの個性が銘柄によって変わります。
気になったものがあればぜひ飲んでみてください。
10位 会津ほまれ 純米
会津ほまれ 純米
味わい:辛口
産地:日本、福島県
親しみやすい落ち着いた味わいの純米酒です。
ほのかに感じるメロンやナッツの香りと、口の中に広がるジワリとした旨味が特徴。
甘味・コク・酸味などのバランスが良く、どんな食事とも合わせることができます。
香りと旨味がより引き立つぬる燗がおすすめ!
9位 大七 純米生酛
大七 純米生酛
味わい:中辛口
産地:日本、福島県
豊かなコクと熟成感を感じる生酛純米酒です。
生酛ならではのクリームを思わせるようなミルキーな香りがあり、味わいには旨味や酸味がはっきりと感じられます。
熱燗にすると香りや旨味がより引き立ちますが、甘味は抑えられるのでよりキレのある味わいに。
ぜひお燗にして食事と一緒にお楽しみください!
8位 あぶくま 無濾過純米酒
あぶくま 無濾過純米酒
産地:日本、福島県
米の旨味を存分に引き出した無濾過純米酒です。
福島県の酒米「夢の香」と飯米「チヨニシキ」が使われており、食事の美味しさを引き立てる旨味のある味わい。
料理に合わせて冷酒かお燗のどちらでも美味しくいただくことができます。
全国新酒鑑評会で金賞受賞した人気蔵元の1本。
7位 廣戸川 純米吟醸
廣戸川 純米吟醸
味わい:甘口
産地:日本、福島県
繊細で華やかな味わいの純米吟醸酒です。
香りは穏やかですが、メロンや桃などの果実や麹の甘さがふわりと感じられます。
さらりとした口当たりがありますが、口の中で次第に広がっていく旨味が豊かな余韻も魅力。
新酒鑑評会で何度も金賞受賞を獲っている実力派蔵元の1本です。
6位 ロ万 純米吟醸
ロ万 純米吟醸
産地:日本、福島県
みずみずしい味わいが特徴の純米吟醸酒です。
福島県で開発された「うつくしま夢酵母」を使用しています。
メロンのようなフルーティーな香りと穏やかな甘味があり、ジューシーさを感じる酸味も相まって飲みやすさ抜群!
和食だけでなくフレンチなどに合わせても美味しく飲むことができます。
5位 国権 山廃純米
国権 山廃純米
味わい:中辛口
産地:日本、福島県
飲みやすさと熟成感を兼ね備えた山廃純米酒です。
山廃仕込みならではの旨味のある酸味があり、はっきりとした味わいを感じます。
しかし全体として軽やかな飲み口で、山廃らしいコクとさらりとした口当たりが特徴的。
金賞受賞した蔵元が醸す福島山廃仕込みの人気銘柄!
4位 寫楽 純米吟醸
寫楽 純米吟醸
産地:日本、福島県
金賞受賞蔵元が造る超人気の純米吟醸酒です。
フルーティーな香りがありながら、しっかりとした米の旨味も感じられます。
大吟醸レベルまで磨いた米が使われているので飲み口もすっきりです。
キリっと冷やして食事と一緒にぜひ!
3位 仁井田本家 にいだしぜんしゅ 純米吟醸
仁井田本家 にいだしぜんしゅ 純米吟醸
味わい:甘口
産地:日本、福島県
自然に任せた造りが特徴の純米吟醸酒です。
生酛造りかつ蔵付き酵母を使用した、奥行きのある純粋な味わいが感じられます。
使用される酒米も無肥料・無農薬というこだわりっぷり。
どんな食事とも相性の良い体にすっと染みていくような味わいが人気の銘柄です。
2位 末廣 山廃純米吟醸
末廣 山廃純米吟醸
味わい:やや辛口
産地:日本、福島県
大正時代からの伝統製法を守った山廃純米吟醸酒です。
程よい甘味と山廃仕込みならではの複雑な酸味が特徴的な風味を醸し出しています。
華やかな吟醸香や米の旨味も感じられ、全体として非常にバランスが良い。
G20大阪サミットの夕食会に選ばれた世界レベルのお酒!
1位 飛露喜 純米大吟醸
飛露喜 純米大吟醸
味わい:中辛口
産地:日本、福島県
上品でしなやかな味わいの超希少な純米大吟醸酒です。
全国の日本酒ファンから絶大な支持を受けている飛露喜。
その透明感のある米の旨味と果実の香り、まろやかで長く続く余韻は特別な日に飲むにふさわしい味わいです。
頑張った自分へのご褒美や、大切な方への贈り物としてもおすすめ!
世界一に輝いた福島の日本酒
福島県の日本酒は、IWCというワインの大会で世界一の日本酒として表彰を受けました。
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)とは、ロンドンで毎年開催される世界最大規模のワイン品評会です。
このIWCでは2007年から日本酒のみを評価する「sake部門」が設立されています。
福島の日本酒は2015年と2018年のIWC「sake部門」にて、その年で最も評価された酒に贈られる「チャンピオン・サケ」を受賞しました。
こちらでそのチャンピオン・サケ受賞酒を2品紹介しますので、ぜひ世界一に輝いた福島の日本酒を味わってみてください!
奥の松酒造 あだたら吟醸 【2018年チャンピオン・サケ】
奥の松酒造 あだたら吟醸
味わい:辛口
産地:日本、福島県
「毎日飲める吟醸酒」を目指して造られた逸品。
1,600種類を超える出品銘柄の中から、2018年のNo.1日本酒として選ばれました。
程よいフルーティーな香りと、酸味や少しの苦みが感じられる辛口の味わいがあります。
こちらの日本酒、奥の松酒造の定番商品としてリーズナブルに入手できるというところもポイント。
世界一に輝いた日本酒でありながら安価に購入できるので、コストパフォーマンスは一級品!
ほまれ酒造 会津ほまれ 播州産山田錦仕込み 純米大吟醸酒 【2015年チャンピオン・サケ】
ほまれ酒造 会津ほまれ 播州産山田錦仕込み 純米大吟醸酒
味わい:辛口
産地:日本、福島県
酒造りのあらゆる工程にこだわった純米大吟醸酒です。
酒米や仕込み水を厳選し、原料処理や熟成にも一切の妥協を許さずに製造したほまれ酒造の最高級品とも言える銘柄。
2015年のIWC「sake部門」には800種類を超える銘柄の出品があり、その中から見事トップに選出されました。
G7伊勢志摩サミットで各首脳への贈答品としても選ばれており、その評価は間違いなく世界クラスです。
福島には金賞受賞の日本酒がたくさんある!
福島県の日本酒はどれも飲みやすく、しっかりとした味わいを持っています。
全国新酒鑑評会で7年連続の最多金賞受賞は伊達ではありませんので、ハイレベルな日本酒を飲みたいときはぜひ福島県の日本酒を選んでみてください!
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