アイラウイスキーとは?特徴から、おすすめのアイラモルト10選をご紹介!

2020/10/13
ウイスキー

1990年代後半から2000年代にかけて世界中でアイラモルトが人気となりました。

アイラウイスキーでしか味わえないピーティで、スモーキーな特徴的な風味が人々の心を捉えたのです。

今日のウイスキーブームの要因の1つにはアイラウイスキーの存在があります。

今回は、そんなアイラウイスキーの特徴から、蒸留所、おすすめのアイラウイスキーまでご紹介します。

アイラウイスキーとは

スコットランドのアイラ島に所在する蒸溜所で作られたウイスキーを、アイラウイスキー(islay whisky)、またはアイラモルトと呼びます。

アイラ島でグレーンウイスキーを製造している蒸留所はないため、アイラはモルトウイスキーのみです。

 

アイラウイスキーの定義

アイラ島はスコットランドの一地域になりますので、生産に関してはスコッチウイスキーの定義に則っています。

① スコットランドの蒸留所で糖化と発酵、蒸留を行う
② アルコール度数94.8%以下で蒸留
③ 容量700リットル以下のオーク樽に詰める
④ スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成させる
⑤ 水と色調整のためのカラメル以外の添加物を使用しない
⑥ 瓶詰め時の最低アルコール度数は40%

 

アイラ島

スコットランド西岸沖には大小数百の島からなるヘブリディーズ諸島があります。

インナーヘブリディーズ諸島の最南端にあるのがアイラ島です。

アイラ島の面積は約620k㎡で、人口は約3400人、ウイスキーの生産が島の重要な産業となっています。

 

気候や風土

アイラ島は比較的気候が温暖なため、大麦の生育に適しています。

島の4分の1ほどが厚いピート層に覆われ、良質な水に恵まれていることからウイスキー造りが盛んになりました。

 

アイラ島の蒸留所

アイラ島には2020年現在、9つの蒸留所が存在しています。

2001年創業のキルホーマン以外はすべて海沿いに経っています。

これは昔、陸上交通が発達していなかったためです。

 

アイラウイスキーの特徴

ヨード臭、独特のスモーキーさ、ピート香

アイラモルトは、ヨード臭、独特のスモーキーさ、ピート香が有名です。

キルホーマン以外はすべて海辺に建ち、それが「潮の香り、海藻のような」といわれるヨード臭の元になっています。

ピートとは、日本語で泥炭と呼び、野草や水生植物などが炭化したものです。

そのピートをウイスキーの原料である大麦麦芽を乾燥させる際に燃料として使います。

大麦麦芽にピートの香りが強く染み込み、その風味がウイスキーに色濃く反映されます。

 

ブレンドにも使用される

アイラ島ではモルトウイスキーのみが製造されていますが、多くのブレンデッドウイスキーにはアイラウイスキーがブレンドされています。

飲みやすいブレンデッドの味わいの重要なピースとしても、特徴のあるアイラモルトは必須なのです。

 

アイラ島の蒸留所

アイラ島の9つの蒸留所についてご紹介します。

蒸溜所ごとの特徴や背景を知って飲むことでよりウイスキーが美味しく感じられますよ。

 

ブルックラディ蒸留所

1881年創業ですが、1994年に一旦操業停止となりました。

2001年より再稼働し「アイラの伝説の男」、ジム・マッキュワン氏により再建され、今に至ります。

ノンピート、ヘビーピート、スーパーヘビリーピートと3種類のブランドを作り分けています。

そのすべてに共通するのは潮の香りとともに、エレガントさを感じるということです。

スーパーヘビリーピートのオクトモアでも、激しい煙たさの中にどこか上品さを感じます。

2023年にはモルティング施設が完成し100%アイラ産のウイスキー生産が可能となります。

 

ラフロイグ蒸留所

販売量は年間380万本を超えていて、アイラモルトでは1番の売上を誇ります。

1番有名なアイラウイスキーであり、アイラを代表する蒸留所と言ってもいいでしょう。

独特のスモーキーさは「正露丸」とも呼ばれます。

好き嫌いは大きく分かれますが、ほとんどのバーには置いてあり、アイラの入り口には最適です。

ラフロイグを好きになれるかなれないかで、アイラを好きになるか決まるといっても過言ではないかもしれません。

 

カリラ蒸留所

生産量は売上1位のラフロイグを上回り1位です。

これは業界最大手のディアジオ社所有で、ブレンデッドに使用されることも多いためと想像されます。

カリラは特別なことをしていなく、ごく標準的な製法です。

アイラのなかでは突出した特徴はないですが、安定して美味しいウイスキーを提供してくれます。

オフィシャル以外にボトラーズからの製品も多く発売されているので、好みの1本を探すのも面白いかもしれません。

 

アードベッグ蒸留所

アイラ島では唯一、ポットスチルに精留器が設置されています。

そのため、強いスモーキーさのなかにも甘みや、すっきりとした後味が残るのが特徴です。

スモーキーさを現すフェノール値は約55ppmとかなり強く、激しい個性を持ったスモーキーな味わい。

「アードベギャン」と呼ばれる熱狂的なファンを持ちます。

アードベッグからはフラッグシップ商品のTEN以外にもさまざまなオフィシャルボトルが発売されます。

毎年5月に行われるアードベッグデーに合わせて発売される限定ボトルは要チェックです。

 

キルホーマン蒸留所

2001年創業で、現在商品が発売されているアイラの蒸留所としては最も新しいです。

現存する蒸留所としては124年ぶりにアイラ島での創業となりました。

他の蒸溜所は海に面していますが、キルホーマンは唯一内陸部にあります。

家族経営の小規模生産で、自社農場や製麦設備、ボトリング設備を持っています。

そのため、すべてアイラ原料のウイスキーの製造が可能で「100%アイラ」といった製品も出ています。

 

ラガヴーリン蒸留所

ホワイトホースの原酒として知られ、ディアジオ社の「クラシックモルト」にも選出されています。

「アイラの巨人」と呼ばれるリッチで力強い味わいが特徴です。

再留を初留の倍の時間をかけて行い、ミドルカットの幅を広く取ることにより、スモーキーでオイリーな成分を回収しています。

オフィシャルのフラッグシップ製品が16年と長く、ボトラーズにほとんど出回りません。

 

ブナハーブン蒸留所

ブナハーブンは「河口」という意味で、アイラには珍しくノンピートでの生産が主体です。

ノンピートの仕込みに関しては、カティサークなどの原酒にもなっているため、軽い酒質が求められたからという側面があります。

現在では、ピーテッドの仕込みも行い始めています。

スモーキーさを抑えた軽やかな味わいが特徴です。

 

ボウモア蒸留所

「アイラの女王」とも呼ばれ、アイラ島の中心に位置します。

1779年創業でアイラ最古、スコッチ全体でも2番目に古い蒸留所です。

ボウモアとは、ゲール語で「大いなる岩礁」の意味。

ピートの中に感じる女王らしい優しさとフルーティーさが特徴です。

アイラの中では最もフルーツの味わいを感じます。

 

アードナッホー蒸留所

2018年創業で、まだ3年経っていないので、シングルモルトは発売されていません。

アイラ島唯一、冷却装置に屋外ワームタブ方式を採用しています。

ワームタブでは重たい酒質のウイスキーが生み出されますので、どのような味わいがするかを想像しながら待つのもいいかもしれません。

蒸留所責任者にはブルックラディ蒸留所の再建に尽力したジム・マッキュワン氏を招聘しています。

 

おすすめのアイラウイスキー10選

ブルックラディ ザ・クラシックラディ

ブルックラディ ザ・クラシックラディ

アイラウイスキーは薬や煙の香りで癖が強く、初心者には少々ハードルが高いですね。

そんなアイラウイスキー初心者におすすめなのかこちらです。

アイラには珍しくノンピートで仕込まれています。

フローラルな華やかさに甘みや爽やかさもあり飲みやすく、その中にもアイラ島の潮気を感じます。

 

ポートシャーロット アイラ・バーレイ2012

ポートシャーロット アイラ・バーレイ2012

ブルックラディ蒸留所のヘビリーピートです。

スモーキーさを現すフェノール値は約40ppmです。

アイラ島産の大麦の特徴なのか、麦芽の甘みも強く感じます。

重たいピートのなかにブルックラディ特有のフローラルさ、エレガントさが融合し、とても上品なウイスキーです。

 

オクトモア10年

ブルックラディ蒸留所のスーパーヘビリーピートです。

フェノール値は80ppm以上、こちらの「10年」は167ppmになります。

ポートワイン樽やコニャック樽で熟成されているためベリー系の果実の甘酸っぱさも感じます。

オクトモアシリーズはピートだけでなく、しっかりと甘みや酸味も感じられるのが特徴です。

 

アードベッグ ウィー・ビースティー

アードベッグ ウィー・ビースティー

今年発売になった、アードベッグの新作。

5年と若いため荒々しいスモーキーさがありますが、シェリー樽の甘みでバランスが取られています。

余韻には長くピートが残ります。

「リトルモンスター」のコンセプト通りに強烈な味わいです。

 

ラフロイグ10年

ラフロイグ10年

ラフロイグの最も定番な商品が1こちら。

強烈なスモーキーさとピート香、海の香りも感じられます。

「正露丸」と呼ばれるラフロイグの味は1度味わえば忘れられません。

どこの酒屋でもほぼ売っていますし、居酒屋などでも置いてあるところはあります。

まずアイラを飲んでみようと思ったらここからです。

 

ラガヴーリン16年

ラガヴーリン16年

濃厚な味わいで、重たいピートのなかに熟した果実の味わいも感じます。

高級ホテルのカフェでベリーのデザートを味わっているような感覚です。

リッチな気分になりたいときにおすすめです。

 

ボウモア 12年

ボウモア 12年

ボウモアは、アイラのなかでは優しい味わいです。

優しいフルーツの味わいも感じます。

アイラのオフィシャルボトルではもっとも安く、コスパも抜群です。

 

キルホーマン マキヤーベイ

キルホーマン マキヤーベイ

刺激的で力強いピートのスモーキーさがあります。

3年~5年の原酒がバッティングされています。

若い原酒ですが、未熟感はなく洗練された味わいです。

さまざまなフルーツとスモーキーさが渾然一体となった素晴らしい完成度です。

 

カリラ 12年

カリラ 12年

王道のアイラと言っても過言でないウイスキーです。

激しすぎず柔らかすぎず、とてもいいバランスのピートを感じます。

フローラルな香りに優しさがありますので、とても飲みやすいです。

余韻にかけてしっかりスモーキーさが残ります。

 

ブナハーブン12年

ブナ ハーブン 12年

ノンピートのブナハーブン。

シェリー樽の特徴が強く出ています。

さらに麦芽の甘みもしっかりと感じることができます。

ノンピート+シェリーでハイランドっぽい部分も感じますが、潮の香りは感じます。

アイラの良さも間違いなくあるウイスキーです。

 

アイラウイスキーの飲み方

ウイスキーの飲み方はいくつかありますが、アイラにおすすめの飲み方がハイボールとストレートです。

 

ハイボール

ハイボールに1番合うウイスキーはアイラウイスキーかと思います。

ピートが抑えられ潮風が強調され、爽快感抜群です。

アイラ入門としてもハイボールはお勧めです。

 

ストレート

原料や樽由来の香味、生産者が意図する味をそのまま味わえるのはやはりストレートです。

アイラ特有の強烈なピートを感じることができます。

アイラの癖に慣れるとストレートじゃないと物足りなく感じることも。

さいごに

はっきりと好き嫌いが別れるアイラウイスキー。

最初に飲むものをしっかり選ばないと、嫌いになって終わってしまう可能性もあります。

優しいピートのものから徐々に強いピートのものへと移行していくのが良いかと思います。

この記事からアイラへの入り口になるウイスキーが見つかれば幸いです。

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