熱燗におすすめの日本酒10選|温度による熱燗の種類や美味しい作り方もご紹介!

2021/05/14
日本酒

「熱燗、ぬる燗、飛び切り燗って何が違うの?」

「美味しい熱燗の作り方を極めたい」

「熱燗におすすめの日本酒が知りたい?」

日本酒の熱燗について、このような疑問をお持ちの方も多いのでは?

今回は、熱燗の温度ごとの種類から、熱燗の作り方、熱燗に合うおすすめの日本酒をご紹介します。

熱燗とは

熱燗とは、端的に言えば「温めた日本酒」のことです。

酒自体を温める行為を「燗をつける」と呼び、温めた日本酒は「燗酒」とも呼ばれます。

日本では酒を燗につける行為というのは、古くから行われてきた飲用方法です。

熱燗は日本酒の個性を感じやすい

日本酒を燗につけると香りが立ち上り、酸味が和らいで甘味(旨味)が強く感じられます。

さらに苦味と辛味が弱まりますので、アルコールのツンとした感覚が取れて丸く膨らんだような味わいに。

冷えている状態では一本調子で特徴のない日本酒も、温めることによりその個性が花開く場合もあるほどです。

熱燗の温度と種類

一般的によく耳にする「熱燗」は、実は燗酒の温度帯による1カテゴリーに過ぎません。

温度によって燗を付けた日本酒の呼び方はさまざまに変化しますので、こちらでその種類と特徴をご紹介します。

 

燗酒の温度帯別の呼び名の違いは次の通りです。

呼び名温度
日向燗(ひなたかん)約30℃
人肌燗(ひとはだかん)約35℃
ぬる燗(ぬるかん)約40℃
上燗(じょうかん)約45℃
熱燗(あつかん)約50℃
飛び切り燗(とびきりかん)約55℃

これらすべてを合わせて、総称で「燗酒」と呼びます。

日向燗【30度】

日向燗は常温より少し高い程度の温度です。

まさに日向にお酒を置いておいた程度の温度帯となり、香りや味わいが少しずつ花開いた状態になります。

人肌燗、ぬる燗【35~40度】

人肌燗、ぬる燗は体温に近い温かさがあり、体によく馴染む心地よさが特徴です。

日本酒が持つふくよかな味わいが広がり、甘味が強く感じられます。

上燗、熱燗【45~50度】

上燗、熱燗はいわゆる「燗酒」のイメージ通り、熱さをしっかりと感じる温度帯。

旨味や酸味、そして米の香りが引き立ちますが、甘みは程よく引き締まった味わいを感じます。

飛び切り燗【55度】

飛び切り燗までの温度になると、アルコールの香りが強調されるのでよりシャープな味わいに。

日本酒が冷めていく過程で、様々な温度帯の味わいを楽しめるのも飛び切り燗の特徴です。

熱燗に合う日本酒の選び方

熱燗にする温度で選ぶ

熱燗に合う日本酒は、温度帯別に2つに分けて考えることができます。

 

・人肌燗、ぬる燗に向いた日本酒

燗の中でも比較的ぬるめの燗は、もっとも味わいがふくらみ、甘味が強く感じられます。

この温度帯で楽しむのに向いたお酒は、純米酒熟成酒など、旨味が強く酸度もある程度高めな日本酒です。

特に「山廃(やまはい)」や「生酛(きもと)」という表記がある銘柄は、いわゆる濃醇旨口のタイプが多くぬる燗にはピッタリ。

冷やだと酸味が強く少々クセの強い味わいが、温めることによりふくよかで奥深い香りと味わいへと変化します。

 

・上燗、熱燗に向いた日本酒

上燗や熱燗など、熱めの燗酒ではふくよかな甘みの強い味わいというよりは、シャープな辛味のほうが引き立ってきます。

そのため選ぶお酒も濃醇旨口タイプよりは、いわゆる淡麗辛口タイプの日本酒が嫌味がなく楽しめるでしょう。

本醸造酒、普通酒などのすっきりとクセの少ないタイプが、熱めの燗を楽しむにはおすすめです。

酸度で選ぶ

京都 日本酒 おすすめ

酸度の高い日本酒は熱燗にすると味わいがふくらみます。

酸度とは、日本酒に含まれる有機酸の多さを示す指標。

日本酒には「乳酸」という酸味の成分が多くの割合で含まれています。

この乳酸は冷えた状態よりも、温まった状態のほうがまろやかでかつ強く酸味を感じやすいという性質があるのです。

酸度の高い日本酒は熱燗にすると味わいの幅が広がりますので、日本酒の裏ラベルや酒蔵ホームページなどでぜひ酸度をチェックしてみてください。

燗酒に向かない日本酒

日本酒のタイプによってはあまり燗酒に向かないタイプのお酒というものも存在しています。

それは、主に次の2タイプです。

 

・吟醸酒タイプ

華やかな香りが特徴の吟醸酒は、冷やした時にその香りが最も引き立ちます。

このタイプの日本酒に特徴的な花やフルーツのような香りは、熱燗にすることで香りが飛んでしまいますので注意しましょう。

なお、吟醸酒と表記された中にもほんの少し温めると香りが立っておいしいお酒も少なからずあります。

その場合もぬる燗程度までの温度で楽しむのがおすすめです。

 

・生酒タイプ

生酒とは、できたてのフレッシュな風味や新鮮さを味わうために、あえて加熱殺菌を行わずに出荷しているお酒です。

そんな生酒を飲用時に温めることは、せっかくの「生」ならではの風味を損なうことに。

そのため、生酒の個性を存分に楽しむためには冷やして飲むことをおすすめします。

燗酒におすすめの日本酒10選

人肌燗・ぬる燗におすすめの日本酒

大七 生酛純米

大七 だいしち 純米 生もと 1800ml

生酛といえば大七と呼ばれるほど、生酛造りでは有名な銘柄です。

濃いめの味わいの煮物などと合わせ、ぬるめの燗でじっくりと楽しむのがおすすめ。

日向燗から熱燗まで楽しめる懐の深さが一番の魅力ともいえます。

 

黒牛 純米酒

名手酒造 黒牛

お米の風味や独特の酸味がバランスよく調和して、クセがなく初心者向けの燗酒におすすめです。

冷酒や常温よりもぬるめの燗につけることにより、その風味がぐんと増します。

燗酒の楽しさを体験するにはもってこいの1本と言えるでしょう。

 

醸し人九平次 火と月の間に 純米吟醸山田錦

醸し人九平次

「燗」という字をほどいた「月」と「火」の「間」で酒を醸したという、ロマンチックな名を冠した日本酒。

ぬる燗にすると香りを味わいがぐっと引き立つ、まさに燗をするために生み出されたお酒です。

チーズを使ったパスタなどこってりした食事にも合わせられる懐深い味わい。

 

駿 純米酒

駿 純米酒

全国燗酒コンテスト2020で「お値打ちぬる燗部門」で最高金賞を受賞した純米酒です。

山田錦100%で仕込まれており、山田錦の特徴であるまろやかさとキレの良さを存分に引き出しています。

人肌燗ぐらいのごくぬるめの燗がおすすめ。

ポン酢で食べるさっぱりとした料理と合わせると、その旨味をあます所無く楽しめます。

 

一ノ蔵 特別純米 超辛口

一ノ蔵 特別純米酒

控えめな香りとビシッとキレの良い辛口な味わいで、食中酒として楽しむにはもってこいな1本です。

超辛口というタイプには珍しく、蔵元ではぬるめの燗を推奨しています。

全国燗酒コンテスト2020の「お値打ちぬる燗部門」で金賞を受賞。

 

上燗・熱燗におすすめの日本酒

神亀 純米酒 辛口

神亀酒造 神亀【しんかめ】

凝縮感のある旨味と、お米由来のふんわりとした香りが特徴です。

少し強めに温めてもくずれない酒質のバランスは秀逸。

キリッとした辛口の旨味が魅力で、淡白なお刺身から味の濃い煮物まで、これ1本で楽しむことができます。

 

酔鯨 特別純米酒

酔鯨酒造 特別純米

高知県が誇る有名銘柄・酔鯨の純米酒です。

控えめな香りながらキレの良い後口と程よい旨味が特徴で、上燗~熱燗程度の燗で最も魅力を発揮します。

少しクセの強い料理まで受け止めてくれる、食中酒として万能な1本です。

 

八海山 特別本醸造

米の甘みと香りがしっかりと感じられ、飽きの来ないキレのある味わいが特徴。

ちょうどいいバランスのアルコール感があり、本醸造らしい刺激的な昔ながらの熱燗を楽しめます。

醤油や味噌味の鍋物との相性は抜群です。

熱燗から上燗まで熱めの燗でコップ酒、なんて飲み方もおすすめします。

 

久保田 百寿

久保田 特別本醸造 百寿

言わずとしれた久保田の一番のスタンダード品で、特定名称は本醸造酒となります。

そのクセのない味わいは冷やから燗まで、あらゆる楽しみ方ができる万能な1本。

特にお刺身などを食べながら熱めの燗を飲むのは、堪えられない喜びです。

最近は手に入りやすくなったことも手伝い、コスパにすぐれた1本といえます。

 

蓬莱 蔵元の隠し酒

地元・飛騨の水と米を使い、古式酒造法と最新の吟醸造りを合わせて仕込んだこだわりの1本です。

全国燗酒コンテスト2020では、「お値打ち熱燗部門」で金賞を受賞。

辛口ながらお米の甘味と酸味がしっかり感じられ、芯のある味わいがあり熱燗にも良く合います。

美味しい熱燗の作り方

ここでは、ご家庭でも簡単にできる3つの方法をご紹介します。

直火燗

鍋などに直接お酒を入れて、そのまま火にかける方法です。

大量のお酒を一度に温めることができます。

一方で、鍋越しにダイレクトにお酒が火で温めるためアルコールが揮発しやすく、香りがキツて辛味が強くなりやすいのが難点。

焦げ臭がつかないよう、弱火でじっくりと温めるようにしましょう。

電子レンジ燗

徳利などにお酒を入れ電子レンジで燗をつけるのは、ご家庭でもっとも気軽に燗をつけられる方法です。

手軽な方法ではありますが、電子レンジでおいしい熱燗を作るにはちょっとしたコツがいります。

電子レンジで燗をつける際は、次の点に注意しましょう。

 

電子レンジ燗のコツ
・香りが飛ばないよう徳利にはラップでフタをする
・徳利の上部・下部で温度差が出ないよう、途中で一度取り出し、割り箸などをひと刺しして中身を混ぜる
・1合あたり500Wレンジで約40秒を目安に、様子を見て少しずつかける
・急激な温度変化で香りを飛ばさないよう、解凍モードを使うのもおすすめ

湯煎燗

湯煎燗は少々手間ではありますが、美味しい熱燗を作るにはもっとも理想的な方法です。

手順と注意点は次のように行ってください。

 

①徳利の口の一番すぼまった部分までお酒を入れる

 

②鍋(またはヤカンなど)に徳利が半分以上浸かる量の水を入れる

鍋の湯を沸かし80℃ぐらいにする(鍋底全体に泡が出てすぐに弾ける程度)

※完全に沸騰させないようにしてください。

 

③火をごく弱火に落とし(保温状態)、80℃にキープしたまま徳利を湯の中に立てる

 

④徳利の中の酒が温まってくると、水位がだんだん上ってくるので、好みのところで止める。

 

④注ぎ口が小さい徳利の場合は半分くらい上がればぬる燗、上部まで上がれば熱燗が目安。

※徳利のデザインにより変化します。

熱燗の道具

料理用の温度計を徳利に直接(直火燗なら鍋に)差し込んで、お酒の温度を計ると失敗がありません。

温度別に燗の種類が書かれた酒燗計という商品も販売されています。

熱燗のアレンジ

熱燗はそのまま飲んでも美味しいですが、ちょっとしたアレンジを加えることも可能です。

いつもの熱燗に少し変化を与えたいときに、ぜひ試してみてください。

ヒレ酒

ふぐのヒレを乾燥させたものを、直火(炭火がベスト)で真っ黒になるまでしっかりと焼きます。

そして、沸騰寸前まで温めたお酒を湯呑などに注ぎ、そこに塩をひとつまみと焼いたヒレを落としこめば完成。

使う日本酒は、辛口の本醸造、普通酒がおすすめです。

一旦フタをして1分ほど蒸らすと、ヒレの焼色がお酒を琥珀色に染めて飲み頃になります。

器に注いだお酒にライターなどで火をつけて、アルコールを飛ばして飲むのもおすすめ。

まるで滋養スープのような味わい深い美味しさが広がるお酒です。

骨酒

「こつざけ」もしくは「こつしゅ」と呼ばれる熱燗のバリエーションです。

カリカリに焼き焦がした魚を熱々の燗酒に浸して、焼き魚の香りと旨味を酒に閉じ込める飲み方。

主に淡白な淡水性の魚であるイワナやヤマメ、鮎などを利用することが多いものの、鯛酒などもおすすめです。

骨酒の魚には決まりがなく、ヒレ酒も広義の意味では骨酒の1種となります。

熱燗は日本酒の美味しさを引き立てる飲み方!

日本酒好きにとって熱燗は、季節が秋から冬に変わり空気が冷たくなると恋しくなってくる飲み物でしょう。

冬の醍醐味・鍋料理はもちろん、お刺身から煮物や焼き物など、熱燗は食中酒とし非常に優れたお酒です。

日本酒の種類ごとに個性と良さを引き出す飲用温度帯は違いますが、温度によって見せる顔が大きく変わってくるのも燗酒の楽しみ方の1つ。

この記事で紹介したような内容を参考に、ぜひご自宅でも熱燗を楽しんでみてください。

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