セントラル・ヴァレーとは、ワイン生産国として急成長を成し遂げているチリの中央部、首都サンティアゴ周辺の地域の事を指しており、マイポ・バレー、カチャポアル・バレー、コルチャグア・バレー、クリコ・バレー、マウレ・バレーを含む一帯の事を言います。
東にアンデス山脈、西の太平洋沿いにも山脈を擁しており、日中は日照時間が長く、夜間の冷涼な海風が特徴的です。この気候により、果実がより熟成され、ボリューム感とコクを兼ね備えた最高品質のワインができあがるのです。
目次
セントラル・ヴァレーのワインとは
セントラル・ヴァレーは首都サンティアゴから近いこともあって、ヨーロッパ品種がチリの中で最も早く、19世紀にはすでに栽培が始まっていました。
その後発展を続けたチリワインでしたが、世界的には大衆的なワインというイメージが強くありました。しかし、2004年にエドワルド・チャドウィック氏が仕掛けた「ベルリン・テイスティング」により、プレステージクラスのワインとしての評価を徐々に高めていくことになります。
当時のトップクラスのワインと言えばフランスとイタリアといった旧世界が主流でしたが、それらのワインと共にブラインドで行われた評価で、1位に「ヴィーニャ・エラスリス ヴィニエド・チャドウィック2000」が、2位に「セーニャ2001」が選ばれたことにより、世界中に衝撃を与えました。
「ヴィーニャ・エラスリス ヴィニエド・チャドウィック2000」および「セーニャ2001」は共にベルリン・テイスティングの主催者であるエドワルド・チャドウィック氏が手掛けたもの。これによりチリワインの魅力とポテンシャルを世界中に知らしめることとなったのです。
今回のセントラル・ヴァレーはチリワインの約7割を占めており、現在世界中に輸出されるまでになりました。
セントラル・ヴァレーの赤ワインの特徴
地域について
マイポ・バレー
首都サンディアゴから近く、ヨーロッパの醸造家が輸入したボルドーの苗木を19世紀から育てているため、ボルドー系の黒ブドウ品種が多くつくられています。特にカベルネ・ソーヴィニョンをはじめ、メルロー、ソーヴニヨン・ブラン、カルメネールなどを主に栽培しています。
カチャポアル・バレー
海岸山脈とアンデス山脈に挟まれたところにある盆地で、夏は非常に高温となりますが、夜間の冷えはすさまじく寒暖差が激しい地域となっています。この地域のブドウは果実味が豊かになる特徴があり、高品質なワインが製造されています。
コルチャグア・バレー
マイポ・バレー周辺よりも涼しい気候で、山麓のやせた土壌であえてブドウを栽培しているのが特徴です。厳しい自然環境を利用したプレミアムワイン作りが盛んとなっています。カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、カルメネール、シラーなどの品種が栽培されています。
クリコ・バレー
チリで2番目に大きな栽培地となっており、カベルネ・ソーヴィニョンとソーヴニヨン・ブランの名産地となっています。
夏は晴天が続きますが、冬場には雨が集中して降り注ぐ特殊な気候となっており、その特殊さから特徴の強いワインが生産されています。また古樹が多い地区で、古樹ならではの複雑な味わいが魅力となっています。
マウレ・バレー
チリ最大のワイン生産地となっています。チリワインの生産量のおよそ5割がこの土地で造られており、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロー、カルメネールなどの品種が盛んに栽培されています。
また、夏場は雨が殆ど降らないため、かつては乾燥につよいパイス種を使ったワイン造りが盛んに行われており、大衆酒のイメージが強くありましたが、近年は有名ワイナリーが増えた地域でもあります。
セントラル・ヴァレーの赤ワインの選び方
味わいで選ぶ
ワインを選ぶ際に様々な基準が存在しますが、ボディの強さで選ぶのも一つの方法かもしれません。
フルボディ
フルボディとはコクや深み、厚みがあり、タンニンの豊かさがある力強いワインのことを指します。
セントラル・ヴァレーのフルボディと言えばウィリアム・フェーヴルやビカールデル・スールなどが有名です。いずれも果実味がしっかりしている場合が多く、テロワールを感じやすい一本となっています。
ライトボディ
ライトボディとは、フレッシュな香りがあり、かつフルーティーな味わいとなっているワインを指します。アルコール度数も比較的低めで、日常消費(テーブルワイン)として常飲するものにおすすめです。
セントラル・ヴァレーのライトボディと言えば、日本ではAlpacaシリーズが人気となっています。皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
価格も手ごろで楽しむことができ、タンニンも少ないので、日々の食事に合わせるテーブルワインに適しています。
品種で選ぶ
セントラル・ヴァレーではカベルネ・ソーヴィニョンをはじめ、メルロー、カルメネールなど様々な品種が栽培されています。品種ごとに味わいが変わってきますので、品種で自分に合ったワインを選ぶのも良いでしょう。
カベルネ・ソーヴィニョン
カベルネ・ソーヴィニョンは栽培面積が世界第一位であるように、世界で最も人気のある黒ブドウ品種と言えます。
スミレやカシスなどを思わせる凝縮した果実味があり、またミントなどに例えられるような清涼感のある植物系のフレーバーが強く感じられます。酸、タンニンも骨格があり、ボディ感を強く感じる味わいです。また凝縮感も合わせて感じられ、上品さのあるワインになります。
メルロー
カベルネ・ソーヴィニョンがスミレやカシスなどの果実味があるのに対し、メルローはブラックチェリーやプルーン等の熟した黒い果実の香りがあり、チョコレートなどの香りも合わせて感じられます。
味わいに関しては、カベルネ・ソーヴィニョンほど酸やタンニンは強くありませんが、繊細な味わいの中にまろやかさと芳醇さが目立ちます。バランス感の良いワインを生み出すのに使われる品種です、
絹のような、なめらかな、シルキーな、などという表現をよく用いられますが、その表現通り、エレガントでスムーズな味わいを作り出してくれる品種です。
カルメネール
セントラル・ヴァレーの栽培されている品種で欠かせないのがカルメネールです。
カルメネールは、ブラックベリーやプラムなどを連想させる濃密な果実味と、骨格のある構造、力強い酸とタンニンをあわせ持ち、凝縮感のあるワインを生み出すのに使われます。
カベルネ・ソーヴィニョンやメルローとは片親違いの兄弟で、それらの良い部分をうまく取ったようなブドウと言えます。
最大の特徴はその香りで、コーヒーやビターチョコレートの香ばしさを持ち合わせており、また黒コショウのようなアロマを感じることもできます。
価格で選ぶ
ボディや品種以外で選ぶなら価格で選ぶのもおすすめです。
セントラル・ヴァレーの赤ワインは手頃な価格帯の物が多いのですが、やはりワインごとに差があります。
価格差の理由としてはブドウの品質であったり、ブランドであったり、作り手の実力であったり、世間の評判であったりと様々ですが、チリワインをはじめとするニューワールドのワインは元々の価格が低いので、手軽に楽しむことが可能です。
一度手ごろなワインから試してみて、その品種や作り手などが自分の好みに合えば、その後にちょっと高いワインを試してみるのも良いかもしれません。
ソムリエ厳選!セントラル・ヴァレーの赤ワイン10選
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日常使いにおすすめ!2,000円以下ベスト5
5位
ガンマ オーガニック
有機ブドウを使用しているチリ屈指の自然派ワイナリー!
シルキーな口当たりでフルーティーな余韻も魅力的に感じられます。
果実の甘みの中に程よいタンニンが感じられ、優しく下を包む感覚は筆舌しがたいもの。
自然派の作り手で有機ブドウ使用のため、安心していただけるのも魅力の一つです。
4位
カサ・デル・セロ・レゼルヴァ 2016
ハーブやスパイスを使った料理におすすめ!
香りがしっかりしており、ブラックチェリーやカシス、ミントなどの豊かな香りが料理の味を引き立たせます。
香りが強めの料理でもそれに負けることなく楽しむことができます。
3位
ヴィーニャ・エドマラ
バーベキューソースとの相性は抜群!
カルメネールの深い味わいと魅力的な香りを最大限に引き出しているワイン。
風味はなめらかで優しく、タンニンの渋みの中に甘みがほのかに広がります。
スパイスやチェリー、焦がした唐辛子のような特徴を持ち、エキゾチックな味わいが楽しめます
2位
カルーチェ
単一ブドウ品種から作られるコスパ最強ワイン!
スミレやイチゴのジャムを感じさせるかわいらしい香りを持っており、余韻にはかすかに甘さを感じます。
醸造家は女性であり、女性らしい優しさやエレガントさが上手にワインに表現されています。
1位
ルート・ワン・ヘリテージ・レッド 2013
味わい:ミディアムボディ
ワイン評価誌「Wine & Spirits」で90点を獲得する大絶賛ワイン!
「どんなレストランで出しても人気となるだろう」と言わしめた高品質ワイン。
ミネラル溢れる味わいで、和食に合わせても料理の味を損なわない一本となります。
4品種の良い特徴を最大限に表現しているワインと言って過言ではありません。
2,000円以下!セントラル・ヴァレーの赤ワイン比較表
来客のある日に2,000円~5000円ベスト5
5位
ラブ・レッド ヴィニャ・マーティ 2016
味、風味、舌触り、色味、全てをとっても最高の出来栄え!
ブラックチェリーのような果実香が中心に立ち、かすかにスミレの香りも感じられます。
味わいはまろやかで、ほろ苦い風味の中にヴァニラやスパイス、ビターチョコなども感じることができ非常にバランスのとれた一本です。
4位
カウケニーナ クロ・デ・フ
味わい:フルボディ
数々のワインコンテストで高評価をたたき出す一本!
レッドベリーからブラックチェリー、ブルーベリーなどベリー系のふくよかで伸びのある風味が特徴となっています。
アクセントとしてスミレの花の香りがあり、シルキーで伸びのある舌ざわり、優しい余韻が特徴です。
3位
エスクード・ロホ
味わい:フルボディ
伝統的なボルドーワインの最先端技術を取り入れたワイン!
濃いルビーレッドの色合いがあり、コーヒーやナッツの繊細な香りやニュアンスを感じる上品なアロマが特徴です。
口に含むと色合いから想像できないようなパワフルさがあり、また複雑な味わいが数々の物語を表現してくれます。
黒コショウや、トースト香、スパイス香などが合わさった深さが特徴の一本です。
2位
ロス・ヴァスコス
ラフィットのフレンチ・オーク樽で12ヶ月間熟成したワイン!
口あたりが上品で優しいのに対し、しっかりとした果実味と凝縮されたタンニンがバランスよく感じられる一本です。
シャトー・ラフィットのフレンチ・オーク樽で12ヶ月間熟成させるこだわりから、最高品質のワインであることは間違いありません。
1位
コンチャ イ トロ テルーニョ
個性が光る、複雑で繊細な一本!
カルメネールとカベルネ・ソーヴィニョンが複雑な味わいを表現している上質なワインです。
味わいは複雑で奥深く、かつ繊細な一本です。畑の個性にこだわった製法のため、セントラル・ヴァレーの赤ワインを一身に感じてみたいなら欠かすことのできない一本と言えるのではないでしょうか。
2,000円~5,000円!セントラル・ヴァレーの赤ワイン比較表
手ごろでしっかり楽しめるセントラル・ヴァレーの赤ワイン まとめ
いかがだったでしょうか。
セントラル・ヴァレーの赤ワインを紹介させていただきました。
チリワインはニューワールドの中でも高品質で低価格なワインが多いのが特徴です。価格帯が手ごろなためどなたでも楽しんでいただくことができます。
またテーブルワインとしてとても優秀なので、毎日のお食事と一緒に楽しむでも良いですし、晩酌としてワインを飲むのにもピッタリのワインです。
セントラル・ヴァレーはチリの中でも最大の産地であり、またセントラル・ヴァレーの中での地域によって若干気候の差があります。その差がワインにも表れていますので、もしセントラル・ヴァレーの赤ワインに興味を持たれたら色々な地域のワインを試してみてはいかがでしょうか。
また、品種によってもはっきりとした差を感じられますので、ワイン初心者の方でも手軽に品種の違いを感じることができおすすめです。
日本でもチリワインは、フランスワイン、イタリアワインに迫る勢いで人気となっています。ぜひ一度その味わいを確かめてみてください。
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