ワインにそれほど関心のない方にまで、広く認知されている「シャトー・マルゴー」。フランス・ボルドー地方の五大シャトーの一角を占めます。
五大シャトーの伝統と歴史・風格を持ち、それに加えてロマンチックな逸話やエピソードが多いワインです。
今回はシャトー・マルゴーの魅力を歴史・味わい・逸話などいろいろな面からまとめてみました。
目次
シャトー・マルゴーとは
五大シャトーの1角
フランスを代表するワイン産地のひとつボルドー地方。
ここにには1級に格付けされた世界屈指のプレミアムワイン「五大シャトー」があります。
「シャトー マルゴー」はその中のひとつ。1級の中で当初からこの級だったのは、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥールと。このシャトー・マルゴーだけです。
「ワインの女王」と称されるボルドーワインの中でも最も女性的と形容され、その形容にふさわしい味わいと華麗な逸話を持ったワインです。
シャトー・マルゴーの名前の意味
シャトー・マルゴーは、ボルドー地方ジロンド県の県庁所在地ボルドーの北方に位置するメドック地区マルゴー村に位置するシャトー。
五大シャトーの中で唯一所在する村名がシャトーの名の由来です。
シャトー・マルゴーの歴史と評価
起源は12世紀!?
シャトー マルゴーは12世紀にはすでに文献に登場しています。数々の貴族の所有を経て、16世紀には現在のシャトーの礎が築かれました。
18世紀にワインの醸造技術は大きく進歩、現代的なワインが誕生しました。シャトー マルゴーでも土壌改良やのブドウ収穫に革新的な技術が導入されます。
ルイ15世の時代、ポンパドゥール夫人をはじめとした愛妾たちのワイン愛好が盛んになり、シャトー マルゴーをはじめとしたワイン文化は宮廷で大きく花開きました。
メドックの格付けとシャトー・マルゴー
前述のように、現在のメドック格付け1級の中で、当初から1級だった3つのシャトーのうちの1つがシャトー・マルゴーです。
いつの時代も常に名声と地位を確実に獲得し続けたシャトーと言って過言はないでしょう。
新しい取り組みで名声を取り戻す
シャトー・マルゴーは、1855年パリの世界万博でおこなわれたブラインドテイスティングで、唯一20点満点中20点を獲得したシャトーでした。
しかし、そんなシャトー・マルゴーにも苦難の時代がやってきます。1970年代にシャトー・マルゴーは不況とぶどうの不出来のために大打撃を受けました。この惨状を立て直したのがギリシャ人ビジネスマン、アンデス・メンツェルプロスです。
アンデス・メンツェルプロスは、醸造設備の整備、新樽を使用した熟成方法の導入、有名な醸造技術者の採用、セカンドワインの見直し、サードワインのリリースなどに取り組みました。
とはいえ、耕作などは基本的に伝統的な方法でおこなっています。現在は有機肥料を使用し、殺虫剤は使用していません。
シャトー・マルゴーの評価
世界的ワイン評論家ロバート・パーカー氏は、1990年、1996年、2000年ヴィンテージのシャトー・マルゴーに対し100点満点中100点をつけています。
日本での人気の背景
同じ五大シャトーの中でも、シャトー・マルゴーの人気は、日本では少し他の国とは趣が違います。
五大シャトーの一つとしてというより、他の理由で一気に知名度と人気が上がったのです。
1995年から「失楽園」という渡辺淳一の小説が日本経済新聞で連載され、経済紙に不倫の物語と当時かなり話題になりました。
役所広司と黒木瞳主演で映画化され、1997年に公開。日経新聞読者の中高年サラリーマンから主婦・OLまで幅広く動員し、同年の配給収入はスタジオジブリ「もののけ姫」に次ぐという結果を残します。
この映画のラストで死を目前にした主人公二人が口にするのがこの「シャトー・マルゴー」だったのです。
シャトー・マルゴーの味わいの特徴
味わい
味わいや香りが複雑で、しっかりとしたフルボディ。その中に柔和で優しい表情も持ち合わせているシャトー マルゴー。
タンニンが絹のスカーフが肌を滑るようにしなやかなに喉をすり抜けていく優美さ。
この「強さの中に秘められたエレガント」こそフランス的な「女性的」という形容詞がぴったりなのです。
シャトー・マルゴーのブドウ品種
主体はカベルネ・ソーヴィニヨン、2割程度のメルローに少量のカベルネ・フラン、プティ・ヴェルトです。
シャトー・マルゴーのエレガンスを象徴するのはタンニンのしなやかさ。
そのため、近年はタンニンを形成する源となるカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高い傾向です。
シャトー・マルゴーの価格
価格の相場と最安・最高値
ネットでのボリュームゾーンは10,000円前後です。
最安値は60,000円前半で購入できます。
高いものは、300,000円台です。
レストランでの価格
ヴィンテージによって、ネットやワインショップの値段とレストランでの価格差は大きく異なります。
例えば、ヴィンテージ2015は、ネットなどでは、25万円前後ですが、レストランでは30万~35万円で提供されます。
一報、ヴィンテージ1998は、ネットでは、7~8万円ほどですが、れすとらんでは、15万円~18万円と2倍以上の価格差です。
シャトー・マルゴーの当たり年
シャトー・マルゴーのおすすめの当たり年は1996年、2000年、2005年、2009年、2010年、2012年、2014年、2015年です。
特に、2009年、2010年、2015年は秀逸です。
シャトー・マルゴー2009
シャトーマルゴー2009
シャトー・マルゴー2009年は、ヴィンテージ2005を思わせる力強さと、ヴィンテージ1990を思い出させる心地よさがあります。
一番の特徴は肉付きの良さです。アルコール度数は、かろうじて13度を超え、フィニッシュには、さわやかさと旨みといった忘れがたい余韻があります。
シャトー・マルゴー 2010
シャトーマルゴー2010
ヴィンテージ2010は2009に並ぶグッドヴィンテージです。
驚くべき香りの複雑と並外れた力強さがあります。他のヴィンテージと比べて緻密さが最大の特徴です。
シャトー・マルゴー 2015
シャトーマルゴー2015
2015年は、シャトーマルゴーの「メドックのヴェルサイユ宮殿」と称される建物の200周年。
ラベルもブラックラベルです。ヴィンテージ2015のカベルネ・ソーヴィニヨンは例年以上の濃厚さと緻密さを備えています。
2005年の力強さ、2009年の肉付きの良さ、2010年の緻密さをバランスよく持つ仕上がりです。
セカンドワインのパヴィヨン・ルージュ
パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトーマルゴー
「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトーマルゴー」は、シャトー・マルゴーのセカンドワインです。
パヴィヨン・ルージュの味わい
シャトー・マルゴーに比較してメルローの比率が高く、ふくよかで果実味を感じる仕上がりです。
セカンドラベルの存在はシャトー マルゴーの品質を向上させます。
また、消費者にとっては、比較的安価にシャトー マルゴーに近い味わいを堪能できることになります。
パヴィヨン・ルージュの価格
パヴィヨン・ルージュもヴィンテージごとに価格差があります。
ネットでの相場は、20,000円~35,000円です。
サードワインのマルゴー・デュ・シャトー・マルゴー
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーは、パヴィヨン・ルージュの品質が非常に高くなってきた結果、2009年にリリースされました。
カベルネ・ソーヴィニヨン主体の本家やセカンドワインよりぶどうの樹齢が若く、メルロ比率が高いです。
セカンドワインよりさらに手頃な価格でシャトー・マルゴーを味わうことができます。
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーは非常に生産量が限られているため、入手困難です。
フランス、イギリス、アメリカ、日本の一部のレストランだけで飲めます。ワインショップやインターネット通販サイトではほとんど入手できません。
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーの味わい
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーは、本家シャトー・マルゴーやセカンドワインより、フレッシュで果実味があります。
マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーの価格
相場は1万円前後です。
白ワインのパヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー
パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー
19世紀から販売されているソーヴィニヨン・ブラン100%の白ワインです。
シャトー・マルゴーでは赤ワインがメインなので、こちらは少量生産です。
若いうちに飲んでもフレッシュさを楽しめますが、30年は熟成できる可能性があります。
パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーの味わい
濃厚なパイナップルの風味、火打石のようなミネラル感が感じられます。
パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーの価格
インターネット通販サイトで35,000~50,000円程度です。
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シャトー・マルゴー まとめ
シャトー マルゴーはタンニンのしなやかさが特出していると言われています。
強さの中に秘めたエレガントさは、「ワインの女王」と言われるボルドーワインの中で最も女性的な存在として位置を獲得しました。
著名人に愛飲者が多く、五大シャトーの中でも特出して数多くの逸話・エピソードを持つシャトー マルゴー。
ワインという範疇におさまらず、もはや文化的な存在と言っても過言ではありません。。
逸話・エピソードなどを知っていれば、いつかこのワインを口にする機会に恵また時、その味わいはさらに深いものになるでしょう。
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