【ソムリエ監修】酒精強化ワインのシェリーとは?種類や飲み方、おすすめ銘柄を紹介!

2019/05/26
ワイン

辛口から極甘口まで多彩なタイプがあるシェリー酒、実はワインの1種であることをご存知でしたか。

今回は、シェリーの種類、飲み方などの基礎知識から、ソムリエおすすめのシェリー酒までご紹介いたします。

執筆者/監修者

佐々木 健太

J.S.A. ソムリエ・エクセレンス

ソムリエ/年間受講者数日本一を誇るカリスマワインスクール講師  21歳でソムリエ資格を取得。南フランスにある一つ星レストラン「Keisuke Matsushima」にて研鑽を積み、帰国後は南青山「L’AS」を経て、株式会社WINE TRAILを創業。ワインのサブスク「HOME WiNE」を手掛ける。YouTubeチャンネル「ソムリエ佐々木」を運営。第9回全日本最優秀ソムリエコンクールファイナリスト。

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シェリー酒とは

ワインの1つで、分類は酒精強化ワイン

シェリー酒は、フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)です。

シェリーのアルコール度数は、15%から22%程度で、通常のスティルワイン(赤ワイン、白ワイン)よりも高めになります。

味わいは、甘口のものと辛口のもの両方あります。

 

シェリーの産地

スペイン南部、アンダルシア州の南西へレスという町を中心とした限られた地域で造られています。

ちなみにシェリー(Sherry)は英語名であり、スペイン語ではビノデへレス(Vino de Jerez)と言います。

 

 

シェリーに使われるブドウ品種

法律で使用が認められているブドウ品種は、パロミノ、ペドロヒメネス、モスカテルの3種類です。

パロミノ

パロミノは、シェリーにおける主要品種であり95%を占めています。

特にアルバリサという生産地のテロワールに適しており、高い品質のシェリーが造られます。突出した特徴がないので、シェリーに適したブドウ品種と言えます。

 

ペドロヒメネス

ペドロヒメネスは、糖分が非常に高いという特徴が有り、甘口のシェリーが造られます。

通常、太陽下で干しぶどう状態にしてから、発酵の早い段階で酒精強化を行うのでかなり甘いタイプに仕上がります。

濃厚な甘さですが、酸味とのバランスが良い気品に溢れる味わいです。

ブドウ本来のフルーティな香りからイチジクのジャムやフルーツコンポートなどの豊かなアロマに樽由来のニュアンスやコーヒーなどの香ばしい香りも感じる品種です。

 

モスカテル

モスカテルは地中海沿岸で古くから積極的に栽培されてきた品種です。

フランス語ではミュスカ、イタリア語ではモスカートビアンコと呼ばれるマスカット種で甘口のシェリーが造られます。

こちらも発酵の初期段階で酒精強化行うので、かなり甘さを感じるシェリーに仕上がります。マスカットブドウそのものの香りに柑橘系やフローラルなニュアンスも感じる豊かな香りが心地よく、極甘口ですが軽やかさも兼ね備えたシェリーに仕上がります。

 

シェリーの造り方

オークの樽で最低3年、シェリー特有のソレラシステムによって熟成されます。

ソレラシステムでの熟成方法は、何段も樽を積み重ね、一番下にある樽から決められた量をボトリングしていきます。

その減った分を二段目の樽(第1クリアデラ)から継ぎ足し、さらにその目減り分を上の樽から継ぎ足す作業が行われます。

この作業はロシオと呼ばれ、結局一番上の樽には常に新しいワインが足される原理です。

シェリーなどのフォーティファイドワインは、通常ヴィンテージの表記をしないので、ブドウの作柄に関係なく安定した品質での供給が可能となります。

 

シェリーの種類

シェリー酒に大きく分けて、甘口と辛口の2つの種類があります。

甘口タイプは、さらにペイルクリームとペドロヒメネスに分かれます。

辛口タイプは、フィノ、アモンティリャード、オロンソの3種類です。

 

ペイル クリーム(Pale Cream)

フィノタイプにモスカテルの果汁をブレンドした爽快な甘口のシェリーです。

1960年代に法改正によって原産地呼称に加わりました。

ブドウそのもののさわやかな香りにヘーゼルナッツやイーストのニュアンスもあり、軽やかでフレッシュな味わい。

穏やかな甘さでほのかな苦味が大変心地よく、ドライな余韻とのバランスも良好です。

シェリーの中では近年非常に人気集めています。

 

ペドロヒメネス(Pedro Ximénez )

同じ名前の品種から造られる極甘口シェリーです。

通常、ペドロヒメネスは収穫したブドウを天日干しにして干しぶどう状にしてから造られます。

そのため干しブドウの深い香りが特徴的で、いちじくやフルーツコンポートなどの豊かなアロマに樽由来のニュアンスも感じます。

濃厚な果実味で力強い甘さと非常に滑らかな口当たりが調和したバランスの良いシェリーです。

 

フィノ(Fino)

フィノはヘレス・デ・ラ・フロンテラ又はその周辺でパロミノから造られている辛口シェリーです。

3年~7年程度の熟成期間を経て樽からボトリングされて出荷となります。

くるみやアーモンドなどの香りに、ラスクの香ばしいニュアンスやイースト香も感じる軽やかな辛口タイプです。

食前酒として世界中で親しまれており、アルコール度数も15度程度、リーズナブルな価格で入手出来るアイテムが多くシェリー初心者におすすめです!

 

アモンティリャード(Amontillado)

アモンティリャードはパロミノから、第2段階の酸化熟成を辿るシェリーです。

そのため琥珀色や褐色をしてる複雑みのある辛口タイプです。

オークフレーバーやヘーゼルナッツを思わせる香りに滑らかな酸味と奥行きのある力強い味わいが特徴的で長い余韻が続きます。

 

オロロソ(Oloroso)

オロロソはパロミノから造られる、最低5年以上の熟成経た辛口で重圧なシェリーです。

酒精強化にてアルコール度数は17度以上に高められています。そのためフロールの膜が付かずに酸化しながら熟成をだどります。

くるみやタバコ、スパイス、動物的な複雑な香りに骨格がしっかりしているパワフルなタイプです。

 

おすすめのシェリー酒10選

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10位 オロロソ ペマルティン

ペマルティン オロロソ

詳細情報
度数:18 %
味わい:辛口
産地:スペイン、ヘレス
品種:パロミノ

1810年創業、コストパフォーマンスに優れたシェリーの生産者として親しまれています。

こちらのオロロソは5年間(法的には3年のところを)の熟成を経ており、繊細なコクと深みのある辛口シェリーです。

くるみの香りが特徴的で、スパイス香やトースト、バルサミコ酢を思わせるような複雑な香りが続きます。

 

9位 コロシア フィノ ボデガス グティエレス コロシア

グティエレス コロシア シェリー コロシア フィノ

詳細情報
味わい:辛口
産地:スペイン、アンダルシア
品種:パロミノ

年間生産量は5万本ほど、伝統的な手法に重きを置いた小さな家族経営のワイナリーです。

ほんわかミネラリーなニュアンスが心地よいデリケートな味わいです。

キリッと引き締まった辛さは、幅広くお料理りにマリアージュを愉しめます。

魚介系やアンチョビの効いたアペタイザーやイベリコ豚の生ハム、天ぷらやお刺身系の日本料理とも好相性!

 

8位 ティオぺぺ ゴンザレス ビアス

ゴンザレス ティオペペ

詳細情報
度数:15 %
味わい:辛口
産地:スペイン

食前酒の定番、世界中で愛されるドライシェリーです。

繊細でシャープなシェリーらしい特有の香りが心地よく、スッキリした辛口です。

食前酒としてはもちろん、通常の白ワインと同様さっぱり系の魚介類やチキンと合わせても愉しめます。     

 

7位 ドン ホセ オロロソ サンチェス ロマテ

ロマテ ドンホセ オロロソ

詳細情報
度数:18 %
味わい:辛口
産地:スペイン

1781年創業、高品質のシェリーを造るとしてスペインでは大変有名な老舗のワイナリーです。

こちらのオロロソはなんと18年の熟成を経ており、赤ワインのようなリッチな味わいです。

燻製系のお料理とのマリアージュがおすすめです。

 

 6位 プエルト フィノ エミリオルスタウ

ルスタウ プエルト・フィノ


1896年創業、世界で数多くの賞やメダルを獲得している「シェリー界の巨匠」とも呼ばれる造り手です。

香ばしいくるみの香りが特徴的。

豊かな果実味に深みのある味わいでスッキリした辛さが爽やかなクラシックタイプのフィノになります。

 

5位 ドン ゾイロ クリーム ウイリアム ハンバートコレクション

ウイリアム・ハンバート・コレクション ドン・ゾイロ"クリーム"

詳細情報
度数:19 %
味わい:甘口
産地:スペイン、ヘレス

1877年に設立、シェリー愛好家から絶大な評価を受け続ける造り手です。

パロミノとペドロヒメネスをブレンド。

ペドロヒメネスはブドウを天日で乾燥させてから搾汁しているので、ドライプルーンやドライイチジクの香りに仕上がっています。

口当たりは非常に滑らかで濃厚な味わいの甘口シェリーです。

イチジクのタルトやドライフルーツをふんだんに使用したパウンドケーキと好相性です。

 

4位 ボデガス ペイルクリーム イタルゴ

ペール・クリーム・イダルゴ


1792年創業、シェリー生産地の中でも最も古い造り手で、スペイン国内ではトップブランドのひとつとして親しまれています。

こちらは最近の流行、優しい口当たりの軽やかなペイルクリーム (甘口シェリー)です。

アーモンドの香りが印象的でブリオッシュのニュアンスもあり、フレッシュで優しい口当たり女性好みのシェリーです。

プティフルやマサパン(アーモンド使用したいわゆるお饅頭でスペインの伝統菓子)などのスイーツとマリアージュを愉しめます。

 

3位 ロブレス バホフロール 5/3 アモンティリャード ボデガスロブレス

ロブレス バホフロール 5/3 アモンティリャード

詳細情報
度数:16 %
味わい:辛口
産地:スペイン、アンダルシア
品種:ペドロ・ヒメネス

オーガニック認定

1972年に設立の比較的新しい造り手ですが、数々の賞やメダルを獲得している生産者です。

ペドロヒメネス100%で樽由来の強い香りにドライフルーツやハチミツのニュアンスも感じる

フレッシュな味わいの優しい辛口シェリーです。

ソレラシステムでは平均して5年程度、その後3年以上オーク樽での熟成を行なっているので、熟成香愉しめるタイプですが、アルコール度数は16度ほどなのできつい印

 

2位 モスカテル エチソ  フェルナンド デ カスティージャ 500ml

モスカテル・エチソ フェルナンド・デ・カスティージャ


1837年設立、小規模ながら品質の高いシェリーを造るワイナリーとして知られています。

こちらはモスカテル100%、なんとほとんど樽熟成を行わない大変珍しいタイプです。

マスカットブドウそのものの香りがフレッシュで柑橘系フルーツやバナナのニュアンスも感じるフルーティーで上品な甘さのシェリーです。

アイスワイン感覚で愉しめるので、シェリー初心者や辛いお酒が苦手な方でも受け入れやすいタイプです。

 

1位 アルベアル ペドロヒメネス ソレラ1927

アルベアル ペドロ ヒメネス ソレラ

詳細情報
味わい:甘口
産地:スペイン、モンティーリャ・モリレス

1729年創業、アンダルシア州最古の家族経営ワイナリーです。

1927という数字は、ソレラシステムで始めてこのワインを造り始めた年で、80年以上継ぎ足しで行われています。

カカオやドライプルーンの香りに濃密でハチミツのような奥深いリッチな味わいの甘口シェリーです。ワインアドヴォケイト誌で98点という非常に高い評価を受けた経歴もある大変素晴らしいシェリーです。

 

シェリー酒の飲み方

シェリーにおすすめのグラス

シェリーもワインなので、通常のワイングラスやシェリーグラスで愉しんでみてはいかがでしょうか。

アルコール度数が高めなので、シャンパンフルートのように細くなっているタイプはアルコールや香りをダイレクトに感じやすいです。

お酒に弱い方やシェリー特有の香りに慣れていないときつい印象を受けることがありますので、飲み口が広くなっているグラスの方がオススメです。

>>その他おすすめのスペインワインはこちら

 

シェリーに合わせる料理

フィノはあっさり系のアペタイザーと合わせやすいです。甲殻類や白身魚などをシンプルに塩ベースで味付けをしたものや天ぷら、魚介のフリット、チーズ系の前菜などと好相性です。

アモンティリャ―ドはササミフライやさっぱりグリルしたチキンとのマリアージュがオススメです。

オロロソは、意外かもしれませんが牛のたたきやローストビーフ、ジビエや赤身のステーキとよく合います。

ペイルクリームは、フォアグラソテーやポークリエット、サーモングリル、キッシュ、酢豚など中華系の甘酸っぱい系ソースとも好相性です。

ペドロヒメネスはフォンダンショコラやチョコレートケーキ、青カビチーズと最高のマリアージュを愉しめます。

 

シェリー酒の保存方法

シェリーもワインのカテゴリーに入ります。ブランデーなど蒸留酒のように開栓後半年程度保存出来ると誤解している方が多いのですが、それは間違いです。通常のスティルワインよりも少しだけ長く保存出来るだけなので、一度開栓したらしっかりと栓をして冷蔵庫で保管してください。

辛口タイプは開栓後冷蔵庫で1週間程度であれば保存がききます。

甘口タイプは開栓後2週間程度であれば保存がききます。

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