近年世界的な赤ワインブームに乗って、ドイツでも赤ワインの生産が伸びています。
とくに代表品種のシュペートブルグンダー(ピノ・ノワールの別名)を使った赤ワインは人気で、生産量は世界第3位!
ドイツの赤ワインはこれからますます注目されるでしょう。
今回は、ドイツの赤ワインの特徴、おすすめの赤ワインをご紹介します。
目次
ドイツの赤ワイン事情
赤ワインの生産量が増加中
ドイツワインは世界で10位の生産量。そのうち赤ワインは4割近く、40年前に比べて倍増しています。
日本への輸入はまだまだ少なめですが、これから生産も増えて、新しいドイツの赤ワインを飲める日も近いことでしょう。
ドイツの赤ワインの特徴
ここではドイツの赤ワインの特徴について、地域や格付けから説明していきます。
地域について
栽培は南部のみ
ドイツは冷涼な気候で世界のワイン生産地の北限にあたることから、ブドウ栽培は南部の地方に限られています。
主にフランスに近いライン川沿いやアール川沿いでワインが生産されていますが、特に良質なワインを造ることができる特定ワイン生産地域として13地域が指定されています。
赤ワインは、バーデン、ファルツ、アール、ヴェルテンベルク
そのうちとくに古くからの銘醸地として有名なのはモーゼルとラインガウですが、どちらも高級白ワインの生産地です。
指定地域の中でも赤ワインが多く生産されているのは、バーデンやファルツ、アール、ヴェルテンベルクになります。
格付けについて
ドイツワインの格付けはテーブルワインと高級ワインを4つの区分に分けられ、さらに高級ワインがブドウの完熟度によって分類されています。
次の4つの区分では、下にいくほど上質なワインになります。
ドイッチャー・ヴァイン(ドイツ産テーブルワイン)
ドイツ国内で生産され、許可されたブドウのみを原料として造られたワインです。
ラントヴァイン(地理的表示保護ワイン)
ラントヴァイン指定地域で栽培収穫されたブドウを、85%以上使用することが条件です。基本的には辛口(トロッケン)か中辛口(ハルプ・トロッケン)に限定されます。
Qualitatswein(クヴァリテーツヴァイン)
以前はQbAと呼ばれていましたが、2013年よりこの表記に変わっています。
13の指定生産地のみで造られるワインです。品種配合のバランスなどの厳しい規定をクリアした、品質の良いワイン。アルコール濃度を補うための補糖をすることができます。
プレディカーツヴァイン(生産地限定格付け高級ワイン)
収穫の時点で完熟し、特に高い糖度を持つブドウから造られたワインです。ドイツワインの中でも最高ランクと認められたワインで、糖度がQualitatsweinよりも高く、補糖は禁止されています。
さらにブドウの糖度や収穫方法で、6種類の等級に分けられています。
等級について
4つの区分のうち、一番高級なプレディカーツヴァインでは、さらに果汁糖度の等級が付けられています。
ドイツワイン法という法律で決められていて、厳格に定められているものです。上から順に甘いワインの等級です。
等級名 | 糖度 | 最低度数 | ブドウの条件 |
Trockenbeerenauslese(トロッケンベーレンアウスレーゼ) | 150〜154 | 7% | 貴腐により干しブドウ化したもの |
Eiswein(アイスヴァイン) | 110〜128 | 7% | 収穫せずに自然凍結したブドウを使用したもの |
Beerenauslese(ベーレンアウスレーゼ) | 110〜128 | 7% | 更に完熟した粒で収穫されたブドウを使用したもの |
Auslese(アウスレーゼ) | 83〜100 | 7% | シュペトレーゼより糖度の高い房で収穫されたブドウを使用したもの |
Spätlese(シュペトレーゼ) | 76〜90 | 5.50% | カビネットより7日間以上遅く収穫されるブドウを使用したもの |
Kabinett(カビネット) | 67〜82 | 5.50% | 通常の完熟ブドウを使用したもの |
QbA(クーベーアー) | 51〜72 | 5.50% | 補糖可 |
いろいろ規定がありますが、よくわからない人は等級表記だけは覚えておくといいでしょう。
ドイツの赤ワインの種類と選び方
ドイツの赤ワインは、品種や味わい、等級をポイントにするのが選び方のコツです。
品種で選ぶ
シュペートブルグンダー
シュペートブルグンダーはピノ・ノワールの別名です。ラインガウで最初に栽培され、ドイツでは最も多く栽培されている赤ワイン品種です。
ドイツの気候と土壌の中で、フランスのピノ・ノワールとはまた違った個性を発揮。果実味豊かで、繊細な酸と柔らかなタンニン、エレガントな味わいの赤ワインが造られます。
ポルトギーザー
オーストリア原産で栽培しやすく、収穫量が安定している品種です。
シンプルでフルーティーな飲みやすいワインになり、リーズナブルなデイリーワインに用いられることが多いもの。高級ワインにはあまり使われません。
以前は広く栽培されていましたが、近年は減少傾向にあります。
ドルンフェルダー
ドルンフェルダーは1955年に交配された新しい品種ですが、シュペートブルグンダーに次いで2番めに多く栽培されています。
濃い色調から、色づけ用のワインとして交配されたものですが、その渋みがなく飲みやすい味わいが注目され、単一品種のワインが多く造られるようになりました。
ほどよい酸味と完熟した果実味が豊かなワインに仕上がります。
トロリンガー
ドイツ・チロル地方が原産で、ヴュルテンベルク地方で最も多く栽培されている品種です。
寒さや乾燥に強い品種で、完熟したブドウからは酸味豊かで力強いワインが造られます。
実の成長と成熟に時間がかかりますが。その分ワインは若飲みになり、フレッシュで味のしっかりしている飲みやすいワインに仕上がります。
味わいで選ぶ
ドイツワインはブドウの完熟度に応じて等級が付けられています。
しかしこれはワインの糖度ではなく、収穫時のブドウの糖度のこと。そのため、品質を基準にすると甘口か辛口かの味わいが今ひとつわかりません。
そのため、ドイツワインには購入時に甘口か辛口かを判断できるように、ワインの残糖を基準に次のような表示がされています。
ラベル表記 | 味わい |
トロッケン | 辛口 |
ハルプ・トロッケン | やや辛口 |
リープリッヒ | やや甘口 |
ズース | 甘口 |
味わいで選ぶときは、この表示を目安にするといいでしょう。
等級で選ぶ
テーブルワイン
ドイッチャー・ヴァインはテーブルワインで、軽めで飲みやすい味わい。日常使いなら、こちらで十分美味しくいただけます。
地区・地域の個性を楽しむ
その次のラントヴァインは、26に分けられた地区の個性が引き出された地酒的ワイン。辛口か中辛口の限定です。
さらに上の格付けにあるのがQualitatsweinで、その地域における特徴をよく表している高品質のワインです。
赤ワインの多くが占める等級で、日本でも一番多く飲まれています。
ドイツのおすすめ赤ワイン10選
このあとは、厳選したドイツの赤ワインを予算別のランキングでご紹介していきます。
日常使いにおすすめ!予算2,000円ベスト5
5位
モーゼルランド アクツェンテ ドルンフェルダー モーゼル Q.b.A.
テーブルワインにピッタリ
モーゼルランドはモーゼル、ナーエ、ラインヘッセン、ファルツ地方のブドウ栽培農家が加盟する、ドイツ最大のブドウ栽培生産者協同組合です。
ドルンフェルダーを100%使用。ほどよい酸味と完熟した果実味がバランスをとる、飲みやすい赤ワインです。
口当たりが柔らかく、テーブルワインにピッタリ。初めてワインを飲む人にもおすすめです。
4位
ペーター&ペーター ピノ・ノワール
人気漫画「神の雫」に掲載された赤ワイン
世界No.1ソムリエも認めた味。シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)を100%使用しています。
野イチゴのアロマで、辛口ながらまろやかな口当たり。フルーティーなブーケとチェリーのニュアンスで、素晴らしいワインに仕上がっています。
フランスのピノ・ノワールとはひと味違う味わい。ぜひ飲み比べてその違いを確かめてみてください。
3位
レー・ケンダーマン ブラック・タワー レッド
さまざまな料理に合う万能ワイン
ファルツで造られた、シュペートブルグンダーとドルンフェルダーのブレンドです。
さわやかなレッドベリー系のアロマ。適度にさわやかな酸味としなやかな果実味がみごとに調和した、やや辛口のワインです。
さまざまなタイプの料理に合わせやすい、万能タイプのワイン。コスパも良く、日常使いにおすすめです。
2位
アマリエ ナーエ ドルンフェルダー Q.b.A. クロスター醸造所
ワインが苦手な人や女性にもおすすめ
ナーエ地区で造られた甘口ワインです。ドルンフェルダー100%で、ほどよい酸味とバランスがとれた甘み、芳醇な果実味が楽しめます。
甘口で飲みやすいので、ワインが苦手な人や女性にもおすすめ。ハートのモチーフが可愛らしく、プレゼントにも最適です。
1位
ディーンハイマー・シュロス Q.b.A 2015
稀に見るコスパの良いワイン
ヴェーバー家は、18世紀から家族経営でワイン造りをする老舗のワイナリーです。
造り出すワインは品種の特徴をよく出しながらも、手ごろな価格。稀に見るコスパの良いワインと評価されています。
ドルンフェルダーの特徴である、しっかりと濃く透明度の高いルビーレッド。ベリー系の豊かな果実系の香りがします。柔らかなタンニンとやさしい甘さで、プラムを思わせるような味わい。
お酒の苦手な女性やお年寄りにも人気がある、飲みやすいワインです。
2,000円以下のドイツ赤ワイン比較表
商品画像 | |||||
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商品名 | ディーンハイマー・シュロス Q.b.A 2015 | アマリエ ナーエ ドルンフェルダー Q.b.A. クロスター醸造所 | レー・ケンダーマン ブラック・タワー レッド | ペーター&ペーター ピノ・ノワール | モーゼルランド アクツェンテ ドルンフェルダー モーゼル Q.b.A. |
詳細 | ドイツ、やや甘口、ディーンハイマー | ドイツ、甘口/ミディアムボディ、アマリエ | ドイツ、辛口/ライトボディ、日本リカー | ドイツ、辛口/ミディアムボディ、ワイン館ビバヴィーノ | ドイツ、やや甘口、モーゼルランド |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
週末や来客などがある日に!2,000円~5,000円ベスト5
5位
ジャン・ブシャー ドルンレースヒェン Q.b.A. 「眠り姫」
ワンランク上の甘口
ジャン・ブシャーはラインヘッセン地域にある家族経営のワイナリーです。その看板ワインがこの「眠り姫」。
ドルンフェルダーと希少なローゼンムスカテラーをブレンドしています。
コルクを開けると一気に広がるラズベリー系の香り。穏やかな渋みとほのかな甘みが、口の中に上品に広がります。
ワンランク上の甘口で、美しいプリント瓶も大きな魅力のひとつ。ワイン好きな女性へのプレゼントに、ぜひどうぞ。
4位
ハンスラング シュペートブルグンダー QBA トロッケン 2011
来客へのおもてなしに
ハンスラングは、全畑がドイツのオーガニック認定団体エコヴァンから認定を受けているワイナリーです。
ラインガウで育まれた有機栽培のシュペートブルグンダーを100%使用。
ほのかなイチゴのような香りで、やさしい渋みと上品な甘さ。豊かな果実味が感じられるワインです。
牛肉料理、鶏肉の煮込み、カツオなど赤身の刺身などによく合うでしょう。
3位
フーバー シュペートブルグンダー Q.b.A. トロッケン
力強さとやさしさが融合した赤ワイン
ベルンハルト・フーバー醸造所はドイツのワイン生産地帯の最南端、バーデンにあるワイナリーです。
収穫量を制限して作った味の濃いブドウを、小さな新樽で熟成。しなやかで力強いワインを生み出しています。
赤い果実の香り、エレガントな酸とタンニンのバランスが良く、力強さとやさしさが融合した赤ワインです。
2位
ウスドラメン 2015 メイエ・ネケル
フルーティーでミネラルたっぷり
メイエ・ネケルはドイツの赤ワイン最優秀賞を受賞するなど、実力派のワイナリーです。
ワイン造りの北限といわれるアールで、シュペートブルグンダー100%で造られたワイン。
テロワール由来のエレガントなタンニンを伴った、フルーティーでミネラルタップリに仕上がっています。
1位
シュペートブルグンダー QbA トロッケン 2014 フリードリッヒ・ベッカー
特別な日の1本にふさわしい極上のワイン
フリードリッヒ・ベッカー醸造所は、ファルツで300年にわたりワイン造りを行っている名門ワイナリーです。シュペートブルグンダーの名手として、世界中で注目されています。
淡い色合いで、エレガントな香り。酸味と熟した果実味のバランスが取れた引き締まった味わいで、ブルゴーニュよりも寒暖差のあるファルツならではの仕上がりです。長い余韻が続くでしょう。
まさにシュペートブルグンダーのお手本とも言うべきワイン。特別な日の1本にふさわしい極上のワインです。
2,000~5,000円のドイツ赤ワイン比較表
商品画像 | |||||
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商品名 | シュペートブルグンダー QbA トロッケン 2014 フリードリッヒ・ベッカー | ウスドラメン 2015 メイエ・ネケル | フーバー シュペートブルグンダー Q.b.A. トロッケン | ハンスラング シュペートブルグンダー QBA トロッケン 2011 | ジャン・ブシャー ドルンレースヒェン Q.b.A. 「眠り姫」 |
詳細 | ドイツ、辛口/ミディアムボディ、フリードリッヒ・ベッカー | ドイツ、辛口/ミディアムボディ、メイエ・ネケル | ドイツ、辛口/ミディアムフルボディ、ベルンハルト・フーバー | ドイツ、ミディアムボディ、日野屋 | ドイツ、甘口/ミディアムボディ、Donguriano |
商品リンク | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
ドイツの赤ワインまとめ
フルボトル(750ml)の高級ワインには、
- ・高い
- ・飲み切るのが大変
- ・他と比較できない
という悩みがありますよね。
ホームワインは高級ワインが100mlで4本ずつ届くから、ワインの違いをわかりたい方にオススメ。本サイトの編集長ソムリエ佐々木が監修した学習コンテンツや、2023年にスタートしたソムリエによるコンシェルジュサービスも大人気。
ワインをもっと楽しむために、始めない理由がありません!▼
※販売数には限りがございますので、売り切れの際は何卒ご容赦ください。
厳選したドイツの赤ワインを10本、ご紹介しました。
まだまだ日本に輸入されている量は少なく、これからも高品質で美味しいワインがたくさん出てきそうですね。
手軽なものから等級の良いものまで、さまざまな種類があるドイツの赤ワイン。飲みやすいワインが多いので、ランキングも参考に、その美味しさを存分に味わってください!
ドイツの白ワインが気になる方はこちらもどうぞ。
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