「ハーラン・エステートってどんなワイン?」
「ハーラン・エステートの特徴は?」
ワイン愛好家やコレクターの間で絶大な評価を受け、世界のトップワインの一つとして称えられるハーランエステート。
この記事では、そんなハーランエステートの概要や歴史を踏まえつつ、特徴や魅力、実際のワインの味わいや楽しみ方をご紹介していきます。
ぜひ、最後まで読んでワインについての知識を深めてください。
目次
1.ハーランエステートの概要と歴史
■創設者ビル・ハーランの夢
ハーランエステートは、1984年に不動産開発者兼ナパヴァレーリゾートオーナーであるビル・ハーラン氏によって設立されたワイナリー。
職業上、一見何らワインと関係なさそうな彼ですが、彼のワインに対する情熱はかの有名なロバート・モンダヴィとのフランスワイン銘醸地を巡る旅行中に芽生えました。
情熱そのままに帰国した彼は、「フランスの格付け第一級に匹敵するカリフォルニアワインを造る」というビジョンを掲げます。
■ワイナリーが位置するオークヴィル地区
そして、土地選びに15年の歳月をかけてついに見つけた畑はあの高級カリフォルニアワインがひしめくオークヴィル地区。
さらにワインメーカーやコンサルタントにはワイン界隈で知らない人はいないであろう、レジェンド級の面々を採用。
こうして後に”カルトワインの顔”とも称されるワインが生み出されたのは、6年後の1990年のことでした。
ハーランエステートのラベルデザインにまつわる雑学!
印象的でどこか目を引くハーランエステートのラベルデザインには、とあるエピソードがあります。
創設者ビル・ハーランは、ラベルデザインにおいても彼のワインが持つ洗練された精神性と歴史的価値を表現したいと考えていました。
そこでヒントを得たのが、若い頃の趣味であった切手収集。ビル・ハーランは、切手に見られる芸術的な深みと温かみ、細部へのこだわりをワインラベルに反映させたいと考えたのです。
このビジョンを実現するために、ハーランはアメリカの銀行券を製造していた会社に接触。
すると、実業家として信頼できるハーラン氏だったからか、会社からは使用されなくなった切手のアーカイブを提供してくれたのです。そこで見つけた絵こそ、現在までハーランエステートのワインを象徴する女性像でした。
このラベルは遠くから見ても一目で識別でき、間近で見るとその細かなディテール、質感、そして深みが感じられるようにデザインされています。
このバックストーリーこそ、ハーランエステートがただのワイン生産者ではなく、その製品に深い思い入れと芸術性を持ち合わせたクリエイターであることを物語っているのではないでしょうか。
ワイン一本一本に込められた情熱とビジョンは、ラベルを通じても伝わってくるものです。ハーランエステートのワインをいただく際は、ぜひこうしたエピソードも踏まえておくとより味わい深く楽しめるはずです!
2.ハーランエステートの特徴
【その1】ハーランエステートの独特な土地と気候
ハーランエステートのワイナリーは、ナパ・ヴァレーのオークヴィル地区の西側の丘陵地に位置しており、およそ100ha弱にわたる広大な土地に広がります。
標高は65〜370mの間で広がり、畑の向きは立地によって異なることも多く、丘の上に立っているような急峻な段々畑となっています。
ブドウにとってはこれがいいストレスとなり、凝縮感を高めつつ、標高の高いところでは夜に気温が下がることで、上質なワインには欠かせない酸の保持に貢献してくれるのです。
【その2】持続可能な農業への取り組み
ハーランエステートでは、ビル・ハーランとその後を継いだ息子のウィル・ハーランにより、持続可能な農業への深いコミットメントがなされています。
彼らは、ワイン生産において環境への影響を最小限に抑えるために、有機およびビオディナミックな栽培方法を積極的に採用しています。
さらに、ハーランエステートでは周囲を取り巻く森林の管理にも注力。
森林火災のリスクを最小限に抑え、ブドウ園が将来にわたって持続可能な環境で成長し続けられるよう取り組んでいます。
ハーランエステートはただ美味しいワインを造っているだけでなく、こうしたサステナブルな取り組みを献身的に行なっていることも知ると、一層彼らのワインが好きになること間違いなしですね。
【その3】伝統と革新を融合させたボルドースタイル
ハーランエステートは、伝統的なワイン造りの技術と最新のイノベーションを組み合わせることで、ボルドースタイルに寄った独自のワインを生み出しています。
品種はボルドー品種に代表される、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドにて構成。
各畑ごとの微気候に最適化して丁寧に栽培されています。
収穫はもちろん手摘み。その後は天然酵母による発酵や、理想のタンニンや風味成分を引き出すマセレーション(浸漬)と最適な抽出温度の管理など、細部にわたりこだわりが見られます。
3.ワインの世界的評価と影響力
世界的な評価と受賞歴
ハーランエステートは、その創設以来、ワイン愛好家や批評家からの高い評価を受け続けていることは言うまでもないでしょう。
特に、ハーランエステートのトップキュヴェである「ハーラン・レッド」は、ジャンシス・ロビンソンによって「20世紀の10大ワインの一つ」と評され、世界中で絶賛されています。
またロバート・パーカーからも、いくつかのヴィンテージで完璧な100点のスコアを獲得し、その他のヴィンテージも97点以上の高評価を獲得しています。
ワインオークションにおけるハーランエステートの影響力
ハーランエステートのワインは、その限定性と品質により、世界中のオークションで高値で取引されるなど、ワインコレクターの間でも非常に人気があります。
2000年のナパヴァレーワインオークションでは、10年分のヴィンテージのマグナムボトルが70万ドルで落札されたことがあります。
このような事例は、ハーランエステートのワインが持つ特別な価値と、ワインオークション市場に与える影響の大きさを示しています。
4. ハーランエステートの値段相場
ハーラン・エステートは、カリフォルニアのナパ・ヴァレーにある高級ワインの生産者で、その希少性と品質の高さから、世界中のワイン愛好家から高い評価を受けています。
また、その希少性から、リリース後は価格が上昇する傾向にあり、古いヴィンテージになると1本数十万円から数百万円の値がつくこともあるのです。
ハーラン・エステートのワインは、その希少性と品質の高さから、世界中のワイン愛好家や富裕層に非常に人気があり、入手困難なワインの一つとなっています。
5.ハーランエステートの代表銘柄
ハーランエステートが手がけるワインは2つしかありません。
それが、フラッグシップワインとなる「ハーラン・レッド」。
セカンドワインの立ち位置ながらも圧巻の品質で知られる「ザ・メイデン」です。
両者ともカリフォルニアのボルドースタイルのワインとしては圧巻の品格を備えており、豊かで深みのある味わい、エレガンス、そして心地よく長い余韻が特徴です。
ハーラン・レッド
“カリフォルニアのグラン・ヴァン”に相応しい、圧倒的クオリティと希少性を誇る一品
ボルドー品種4つそれぞれが高い次元にあり、時に”濃厚なグレープジュースを飲んでいるかのようなエキス感”とまで表現されています。
カリフォルニアらしい樽感はありますが、果実の厚みがしっかりあるからこそ両要素がしっかりと同調。
なめらかな口当たりに長い余韻、熟成ポテンシャルもボルドーグラン・ヴァン同様に20年は裕に可能だとされています。
ハーラン・ファミリー ”ザ・マスコット” ナパヴァレー レッドワイン
ハーラン・エステート&ボンド&プロモントリーの若木から造られる超レアワイン
ハーラン・ファミリー “ザ・マスコット” ナパヴァレー レッドワインは、深いルビー色が特徴的なフルボディのワインです。
ひと口目から綺麗な酸が素晴らしく、ソフトで継ぎ目のない滑らかな口当たりとフレッシュな黒系ベリー、胡椒系のスパイス、土のニュアンス。
しっ かりと力強いタンニンを持ち、口中に広がる旨味と長い余韻が印象的な仕上がりです。
余韻も長く、リッチで複雑な味わいが続く、まさに贅沢な一本になっています。
ザ・メイデン
カルトワインの最高峰「ハーラン・レッド」のセカンドに位置付けされる激レア・激ウマワイン
「乙女」を意味するメイデンは、名前通りの柔らかさやピュアさを備えており、ハーラン・レッドと比べると妖艶かつ円みのある味わいが特徴的。
価格はファーストの半分程度ながら、ときに希少性と評価が上回ることも珍しくありません。
ハーラン・レッドに手が出ないという方は、ぜひザ・メイデンから試してみるのもおすすめです!
ハーランエステートのワインに合うおすすめペアリング
ハーランエステートのワインは、その複雑さとバランスの良さから、多種多様な料理とペアリングすることができます。
「ハーラン・レッド」「ザ・メイデン」共に、ペアリングの方向性は同じで問題ありません。
香ばしく焼いた赤身肉のステーキや熟成チーズ、濃厚なソースや煮込み料理とよく合います。
・肉料理全般
→豊富なタンニンと肉の脂身が絡み合い、脂身を洗い流しつつ旨味と調和
・熟成チーズやハードチーズ
→チーズの絶妙な塩気とコクが果実味とマッチ
・濃厚なソースや煮込み料理
→ワインの個性が力強いため、料理にも一定のボリューム感が必要
ハーランエステートの楽しみ方
また、ハーランエステートのワインを楽しむ際には、ワイングラスや供出温度にも注意を払いましょう。
■ワイングラス
まず、最大限この素晴らしいワインを楽しむ場合のワイングラスは、大ぶりのボルドーグラス一択です。
それもしっかり薄張りのものでボウルに膨らみがあるものを準備すると、より繊細な口当たりやアロマを楽しむことができます。
以下にご紹介の「ザルト デンクアート ボルドーグラス」は筆者含め、星付きレストランでも愛用されているおすすめのワイングラスですので、ぜひこうしたグラスと一緒にいただいてみてくださいね。
■おすすめ温度
理想的な飲み頃温度は、「ハーラン・レッド」「ザ・メイデン」ともに16~18℃で楽しむのが最適です。
セラーをお持ちの方はおそらく13度前後に設定してあるかと思いますので、抜栓後はそのままグラスに注いで少し待つことで常温となるでしょう。
冷蔵庫保存の場合、飲む1時間前ほどから常温下に出しておくとおよそ適温に近い状態で楽しめるかと思います。
また、もっとこだわりたいと言う方は、若いヴィンテージ(概ね2015年〜のものと仮定)であればワインを十分に呼吸させるためにデキャンティングしてもいいでしょう。
6.ハーランエステートにまつわる2ブランド
実はハーランエステート以外にも、ビル・ハーラン氏によって立ち上げられたワイナリーがもう2つあります。
それが、「ボンド」と「プロモントリー」です。
「ボンド」では、”ナパ・ヴァレーのグラン・クリュ”を目指し、テロワールの個性を忠実に表現することに重きを置いています。
「プロモンタリー」では息子のウィル・ハーラン氏を当主に置き、ハーランエステートの背中を追って少量生産・高品質のボルドースタイルを造っています。
ボンド
カベルネの真髄を味わいたい方におすすめ
エネルギッシュな果実味とバランスの取れた芳醇な樽香が楽しめる一品。
凝縮感あるフルボディながら、ハーブやスパイス、華やかなバラのアロマも感じられるため、思った以上に味わいはエレガントで繊細な印象を受けます。
また、ボンドでは今回ご紹介の「ヴァシーナ」の他にも、「メルバリー」「セント・エデン」「クェラ」「プルリヴァス」といったラインナップが準備されています。
お金が許すならばぜひ飲み比べしたい数々です..!
プロモントリー
フィネスとミネラリーさを備えた極上のグラーヴスタイル
ファーストヴィンテージとなる2009年から早々に、有名ワイン評論誌にて97点という高得点を叩き出した優等生ワイン。
ハーラン・レッドと比べてタンニンや酸、鉱物的なミネラル感が強いと形容される一品で、希少性さえも時にはハーラン・レッドを上回っています。
まさにパーカー氏が賞賛した言葉通り、「最上質のペサック・レオニャン、ラ・ミッション・オー・ブリオンと並ぶ出来栄え」と言えるでしょう。
6. ハーランエステートの当たり年は?
ハーラン・エステートは、ほぼ毎年高い品質のワインを生産していますが、特に当たり年とされるのは、1994年、1997年、2001年、2002年、2007年、2013年、2015年、2016年などです。
これらの年は、ワイン評論家から非常に高い評価を受け、ワイン愛好家の間でも特に人気があります。
例えば、2002年と2007年のハーラン・エステート・プロプライエタリー・レッドは、ワイン評論家のロバート・パーカー氏から100点満点中100点を獲得しています。
ただし、ハーラン・エステートのワインは、どのヴィンテージでも非常に高品質であり、当たり年以外のヴィンテージでも十分に楽しめるワインとなっています。
まとめ
ハーランエステートは、実業家であるビル・ハーラン氏が創設したカリフォルニアを代表するワイナリー。
「メドック格付け第一級シャトーに匹敵するカリフォルニア・ワインを造る」という信念のもと生み出されたワインは、名実ともに今や世界のトップワインの一つに輝いています。
その背景にある、環境を配慮した持続可能な農法であったり、手間暇惜しまないワイン造り、ラベル一つとっても深く考えられた芸術性など、知れば知るほど魅力的なワインだと再認識できた人も多いはず。
一生に一度飲めるか飲めないかのカルトワインの最高峰。飲む機会があれば、当記事で学んだハーランエステートの魅力を振り返りながらぜひ味わってみてくださいね。
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