「シルバー・オークとは?」
「おすすめのワイン銘柄は?」
シルバー・オークは、全米を中心に熱い支持を受けるトップワイナリーです。
従来はカベルネ・ソーヴィニョンのみに絞ったワイン造りで人気を博し、今では世界的なワインメーカーを擁し、バラエティ豊かなワインを造っています。
この記事では、そんなシルバー・オークについて、深掘りしていきます。
おすすめの銘柄なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
シルバー・オークとは
シルバー・オークは、アメリカ、カリフォルニア州のナパ・ヴァレーにある著名なワイナリーの一つ。
レイ・ダンカン氏とジャスティン・マイヤー氏の2人によって創業され、持続可能な農法と革新的なワイン醸造技術を取り入れつつ、一貫して優れた品質のワインを生産しています。
また、ワイナリーはその美しい景観と訪問者へのホスピタリティ溢れる対応で知られ、ワイン愛好家や観光客にとって魅力的な訪問地としても有名です。
そんなカリフォルニア随一のワイナリーを築き上げたジャスティン・マイヤー氏ですが、彼の言葉にこのワイナリーの全てが集約されていると言っても過言ではありません。
それが、 “Life is a Cabernet !”。
黒ブドウの王、カベルネ・ソーヴィニョンに全てを捧げた男たち=シルバー・オークなのです!
ワイナリー設立当初の名前は、創業者2人の名前を取った「Dunkan Meyer」。
しかし、ドーナツ屋の名前のようだと揶揄されたことで、ジャスティン・マイヤーの妻のボニー女史が提案。
ワイナリーがシルバラード・トレイルとオークヴィル・クロスロードの間に位置することで、両者の名前を拝借して「シルバー・オーク」と名付けた。
印象的なシルバー・オークのラベルデザインは、実はあのボルドー5大シャトーの一角であるシャトー・ラトゥールからインスピレーションを得たもの。
ワイナリー敷地内にある給水塔をアイコンにすることで、今やすっかり「給水塔=シルバーオーク」のイメージが浸透した。
・給水塔(シルバー・オーク)→カリフォルニア農業の象徴
・塔(シャトー・ラトゥール)→1300年代中頃の百年戦争時代に要塞として築かれた塔
アメリカで大人気のシルバー・オーク、その理由は?
実はシルバー・オーク、他国ではもちろんのことアメリカ国内でも非常に大人気なワインとして有名です。
その理由の一つが、「アメリカ・クラシック」と称されるそのアメリカ人好みの重たい味わい。
“全米のあらゆるステーキハウスのワインリストに採用されているワインがシルバー・オーク”、であるというこの実態がまさに物語っています。
では、こうしたステーキに合うような重厚感溢れる味わいは一体どのようにして生まれるのでしょうか。
ここからは、そんなシルバー・オークを構成する3つの核となる部分について見ていきます。
シルバー・オークの歴史
シルバー・オークを語る上で欠かせないのが、その歴史や創業についての話です。
ここでは、シルバー・オークがどのように誕生したのか、そしてどのように成長してきたのかについて見ていきましょう。
シルバーオークの創業と初期の歴史
シルバーオーク (SILVER OAK) は、1960年代後半にレイ・ダンカン氏がカリフォルニアを訪れ、その美しい土地に感銘を受けたことから始まります。
彼はナパ・ヴァレーとアレキサンダー・ヴァレーに土地を購入し、「ミスター・カベルネ・ソーヴィニヨン」と称されるジャスティン・メイヤー氏と出会い、1972年にシルバーオークを設立しました。
彼らの目標は、最高のカベルネ・ソーヴィニヨンを造ることでした。
ジャスティン・メイヤー氏の言葉「Life is a Cabernet!」は、彼らの哲学を象徴しています。
ワイン造りの哲学と成長
シルバーオークは、創業当初からアメリカン・オークによる熟成にこだわり、独自のスタイルを築きました。
ナパ・ヴァレーとアレキサンダー・ヴァレーの2つのエリアでカベルネ・ソーヴィニヨンだけを造り続けています。
1994年には、フランスのペトリュスやカリフォルニアのドミナスで活躍したダニエル・バロン氏が参加し、シルバーオークのワイン造りを引き継ぎました。
1999年には新たなブランド、トゥーミーを立ち上げ、メルロなどのワインも手がけました。
シルバーオークの現在と未来
現在、シルバーオークのワイン造りは、ダニエル・バロン氏の後継者であるネイト・ワイス氏が担っています。
彼はイタリアの名門アンティノリ傘下のアンティカ・ナパ・ヴァレーで修業した経験を持ち、その技術と情熱をシルバーオークに注力。
シルバーオークは、アメリカ国内外で高い評価を受けており、特に全米の高級レストランのワインリストに常に名を連ねています。
そのワインは「リッチで複雑、エイジングも可能だが、リリースしたてでも充分に楽しめる」という特徴で知られています。
飲む前にこれだけおさえる!シルバー・オーク3つの特徴
シルバー・オークの概要をおさえた上で、次はシルバー・オークを飲む前にぜひ知っておいてほしい前提情報を3つご紹介します。
こうした事前情報があるのとないとでは、ワインの味わい深さも驚くほど変わってきますので、ぜひこの機会に覚えておきましょう!
【特徴その1】カベルネ・ソーヴィニョンに特化
“Life is a Cabernet !”の文言通り、カベルネ・ソーヴィニョンに特化したワイン造りが当ワイナリーの特徴の一つ。
重厚感がありつつ複雑みもあり、今すぐに飲んでも楽しめるが熟成ポテンシャルも秘めているようなワインといえば、確かにカベルネ・ソーヴィニョンが最適です。
よって、1994年まではカベルネ100%で造られていましたが、以降はボルドーブレンドと呼ばれるセパージュ比率に変化。
ただそれでもなお、カベルネの比率は大半を占めており、ソノマのアレキサンダー・ヴァレー産とナパのオークヴィル産でも巧みにセパージュを切り替えています。
ナパ・ヴァレー産の方ではボルドーブレンドが顕著に見られ、基本的にカベルネの割合は70〜85%の間。
アレキサンダー・ヴァレー産は概ね90〜100%で推移しています。
黒ブドウの王様 カベルネ・ソーヴィニョンとは?
世界各国で栽培されているフルボディワインの代名詞的品種が、「カベルネ・ソーヴィニョン」。
熟すために多くの熱を必要とするため、ある程度温暖な産地でなければ栽培が難しい。
シルバー・オークが所有する両産地(ソノマとナパ)はどちらも温暖で乾燥するため、カベルネは十分に成熟が可能。
水捌けがいい土壌により適度な水分ストレスにかられて実は凝縮。
アロマ成分も蓄え複雑みを増しつつ、カベルネ特有の強固なタンニンは尖りのない、円熟さを帯びた仕上がりとなります。
【特徴その2】アメリカンオーク樽へのこだわり
シルバー・オークの特徴や味わいを語る上で、最も重要なのがこの「アメリカンオークへのこだわり」。
フレンチオークと比較して廉価なうえ、ココナッツやヴァニラ香が強く付きすぎてしまうその厚化粧さが敬遠されていました。
確かにアメリカンオークを使ったワインにはその傾向がありますが、シルバー・オークだけは異質。
アメリカンオークらしい甘やかさはありつつも非常に洗練されていて、思いの外くどく感じないのです。
これにはやはり、樽の製造を事細かに管理できる体制が整っていることが何より大きいでしょう。
というのも、2015年にオーク樽の製造会社として著名なA&K Cooperageとパートナーシップを組み、アメリカンオークの製造を管理することに成功。
「アメリカンオーク=安くてリッチな味わい」をイメージしている方にこそ、シルバー・オークを試す価値がありそうです。
【特徴その3】自然環境への徹底した配慮
シルバー・オークはただ美味しいワイン造りを行うだけでなく、自然環境への配慮も怠らないサステナブルなワイナリーとしても知られています。
それはブドウ畑の農法はもちろんのこと、緻密に練られたワイナリーの設計にまでこだわりが見られます。
環境に優しい材料やリサイクル材料の利用、廃棄物の削減、雨水の再利用、自然光の最大利用、良好な空調システムなど全ての導線に配慮。
この取り組みが認められ、世界的な環境性能認証LEED®の最高ランク「プラチナ」を商業ワイナリーとしては世界に先駆けて取得しています。
この背景もあり、ワイナリーツアーが盛んなナパ・ヴァレーの中でも観光客から常に高い人気を獲得しています。
【特徴その4】レストランが選ぶ最も人気のカベルネソーヴィニョンランキングにて第1位
シルバーオークは、アメリカ国内のレストランで最も人気のカベルネソーヴィニョンとして知られています。
2018年にワイン&スピリッツ誌が発表した「アメリカのベストレストラン50」で、第1位に輝きました。
その豊かな果実味とエレガントなオークの風味が、多くのレストランのワインリストに選ばれる理由です。
シルバー・オーク 全ラインナップ
シルバー・オークが手がける銘柄は2つのみ。
これには創業者のメイヤー氏が語る「いくつものワインを造るのではなく、テロワールに則った、ただ1つのワイン」の信念が反映されています。
各ラインナップは、アレキサンダー・ヴァレーとナパ・ヴァレーの2つ。
似て非なる両産地の特性を、最大限に引き出して造られた品々をぜひご堪能ください!
アレキサンダー・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン
ソノマ屈指のカベルネ名産地である、アレキサンダー・ヴァレー産の一品。
カシスリキュールやブラックベリーのコンポートのアロマを中心に、タバコやモカの香りが高級感を演出。
アメリカン・オーク熟成らしい重厚感ある樽香は確かにありつつも、他のワインとは一線を画するエレガンスさも備えた、いい意味で捉えづらい魅力も持ち合わせています。
まさに、”シルバー・オーク入門編”と呼ぶに相応しいハイクオリティの一本です!
品種 | AVA | 価格(税込) |
---|---|---|
カベルネ・ソーヴィニョン100%or主体(年による) | アレキサンダー・ヴァレー | 14,080円 |
ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニョン
シルバー・オークの最高級品であり、アメリカン・カベルネの象徴として讃えられる至極の一品。
官能的、妖艶、優美といった表現がまさに的を得ており、ワインラバーであればこのワインの熟成後の味わいを想像するだけで、思わず笑みがこぼれてしまう人もいるでしょう。
アレキサンダー・ヴァレーと比較しても、価格の高さに品質は確かに比例しており、こちらの方が味わい全体のスケール感や一つ一つの要素が洗練されています。
“百聞は一見に如かず”。そんなに違うのかと気になる方は、ぜひ飲み比べをおすすめいたします!
品種 | AVA | 価格(税込) |
---|---|---|
カベルネ・ソーヴィニョン主体 | ナパ・ヴァレー | 21,450円 |
シルバー・オークの新ブランド “トゥーミー”
シルバー・オークには、本家と違うコンセプトにてワイン造りを行うため新設されたブランドがあるのをご存知でしょうか。
その名も、「TWOMEY(トゥーミー)」。
カベルネ以外の可能性を追求してカリストガに創設され、メルローやピノ・ノワール、ソーヴィニョン・ブランといった国際品種を手がけています。
そしてワインメーカーにはなんと、ペトリュスやドミナスでお馴染みのダニエル・バロン氏やジャン・クロード・ベロー氏といった豪華な面々が勢揃い。
フランスの繊細さとアメリカの重厚感が絶妙に絡み合い、カリフォルニア屈指の高品質ワインが生み出されています。
シルバー・オークのカベルネ派か、トゥーミーのバラエティ豊かなワイン派か、皆さんどちらがお好きでしょうか。
トゥーミー ピノ・ノワール ロシアン・リヴァー・ヴァレー
カリフォルニア屈指の冷涼産地、ロシアン・リヴァー・ヴァレーにて造られるリッチなピノ・ノワール。
当産地特有のジューシーな果実味がアタックから生き生きと感じられ、そこへ甘草やシナモン、クローブといったスパイスが味わいに清涼感と奥行きを演出します。
“カベルネだけじゃないぞ!!”という、ワイナリーのプライドや強い信念が垣間見える、力強く伸びのある余韻も印象的です。
品種 | AVA | 平均価格(税込) |
---|---|---|
ピノ・ノワール | ロシアン・リヴァー・ヴァレー | 7,557円 |
トゥーミー ソーヴィニョン・ブラン
赤ワインだけじゃない!白も高品質なトゥーミーのポテンシャルの高さが分かる一品がこちら。
味わいは典型的なカリフォルニアのソーヴィニョン・ブランを想像していると、いい意味で期待を裏切られるエレガントさが特徴。
ステンレスタンクで熟度の高い果実味を生かし、余韻にかけてハチミツやグレープフルーツを思わせるほろ苦さが続きます。
そして、今やその品質は世界中からもお墨付き。
2015年ヴィンテージは有名ワイン誌ワイン&スピリッツにて、「Year’s Best New World Sauvignon Blanc(ニューワールドのソーヴィニョン・ブラン年間ベスト)」に選出されるほど、名実ともに人気銘柄です。
品種 | AVA | 平均価格(税込) |
---|---|---|
ソーヴィニョン・ブラン | カリフォルニア | 4,367円 |
トゥーミー メルロー
トゥーミーを語る上で最も欠かせない、ワイナリーの真髄が感じられるのがこちらのメルロー。
メルローワインと言えば、かの有名なペトリュス。そして、そのペトリュスを手がけたワインメーカーが造っているとなれば、期待するなという方が無理な話ですよね。
メルローらしい豊満さを備え、ベルベットと形容されるなめらかな舌触りはまさにボルドーのグランヴァンそのもの。
まだ価格が10,000円強とお値打ちな間に、ぜひ味わっておきましょう!
品種 | AVA | 価格(税込) |
---|---|---|
メルロー主体 | ナパ・ヴァレー | 10,780円 |
シルバー・オークとのおすすめペアリング
シルバー・オークはワイン単体でも十分に楽しめますが、せっかくなら料理と合わせてマリアージュを堪能したいですよね。
とはいっても、難しく考える必要はありません。
“重厚感”というのはシルバー・オークのワイン全てに通ずるポイントですので、そこに合わせて料理もボリュームのあるものを選ぶとほぼ外れません!
ボリュームというのは、お肉料理のような脂肪分があるものや煮込み、味付けではバターやキノコで旨味を引き出したものを指しています。
・肉料理全般
→豊富なタンニンと肉の脂身が絡み合い、脂身を洗い流しつつ旨味と調和
・燻製
→新樽熟成由来の香ばしさや品種の苦味が、燻製のスモーキーさと同調
シルバー・オークと”やってはいけない”ペアリング
シルバー・オークのようなフルボディで濃厚なタイプの赤ワインに合わせる料理といえば、なんとなく肉系や濃い味付けのものかなという共通認識もあったのではないでしょうか。
そこで次は、反対に”やってはいけない”ペアリングをおさえておきましょう。
普段、無意識で皆さんも避けている組み合わせかもしれませんが、 “なぜ”の部分も含めて覚えておくと他のワインにも応用が効きますよ。
・生魚
→新樽熟成をするシルバー・オークの場合、新樽と生魚の脂肪酸が絡み合い生臭さの原因に
・カプサイシン系の辛い料理
→シルバー・オークの高いアルコール度数や強いタンニンが料理の辛味とケンカ
・繊細な料理やタンパク質に乏しい料理
→ワインの力強さが一人勝ちし、全体のバランスが取れない
まとめ
シルバー・オークが、ただただ重たいだけのアメリカン・クラシックではないこと、お分かりいただけたでしょうか。
創業者のカベルネへの熱いこだわりと、敏腕ワインメーカーによる新品種・新産地の探求。
ただただ厚化粧になり安っぽく仕上がる、アメリカンオークのイメージを払拭するほどの巧みな樽使いは全米のワイナリー中でもトップクラスでしょう。
また、筆者は2000年台のヴィンテージを飲んだことがありますが、タバコや焙煎コーヒーになめし革といった見事な熟成感も楽しめます。
早飲みで洗練されたパワフルさを楽しむのも良し、熟成させて深みの増した妖艶さを楽しむのも良し。
皆さんなりの楽しみ方で、ぜひ当ワインを味わってみてはいかがでしょうか。
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