「ボルドーワインってどのようなもの?」
「ブルゴーニュワインとは何が違うの?」
ボルドーと言えば、誰もが知るワインの世界的ワイン名産地。
この記事では、そんなボルドーのワイン産地、品種、格付けの解説から、当たり年までご紹介します。
ブルゴーニュワインとの違いについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
ボルドーワインとブルゴーニュとの違い
赤ワインと白ワインの比率
赤・白それぞれ高級ワインを生産しているブルゴーニュに対して、ボルドーは赤ワインが主体です。(ボルドーでの白ワイン生産はわずか10%です。)
単一品種かブレンドか
ブルゴーニュワインは基本的に単一品種で造られているのに対し、ボルドーでは複数品種のブドウをアッサンブラージュして造られています。
特徴の異なる品種をブレンドすることで、ボルドー特有の複雑で奥行きがあり、味わい深いワインに仕上がります。
ボルドーワインの格付け
ボルドーのシャトーには、地区ごとに格付け制度があります。
メドックの格付け
1855年のパリ万国博覧会の際に、ナポレオン3世の要請を受け、ボルドー市商工会議所がメドック地区の第1級から第5級まで60の赤ワインの格付けを作成。
ワイン産業の国際的振興を意図し、本音の部分では偽ボルドーワインの駆逐も狙い、世界各国のワインファンにフランスワインの基準を示すために作られました。
第1級では当初の4銘柄シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・マルゴーにシャトー・オー・ブリオン(唯一メドック地区外)が加わり、1973年に1855年当時2級だったシャトー・ムートン ロートシルトが昇格。
メドックの格付けの1級は五大シャトーと呼ばれ、世界トップクラスのシャトーとして大変高い評価を受けています。
グラーヴの格付け
格付けが制定されたのは1953年。6年後に修正・補完されました。シャトー・オー・ブリオンはメドック・グラーヴ両方で選ばれている唯一のシャトー です。
格付けの16シャトー に等級はなく、赤のみ7シャトー、白のみ3シャトー、赤白両方が6シャトーとなっています。
クリュ・ブルジョワの格付け
グラーヴ・メドックの格付け外のシャトーが「クリュ・ブルジョワ」として格付け。省庁の認可を受けたものではなく、格付けとしては正直あまり使われていません。
ただし、メドック・グラーヴ両格付けに匹敵する品質のシャトー もあります。
サン・テミリオンの格付け
「生産者主導」の格付け。メドック地区の格付けは基本的に見直されませんが、サン・テミリオンの格付けは10年に1度見直されます。その柔軟性ゆえか、裁判沙汰等のトラブルが多い格付けです。
ボルドーワインの選び方
ボルドーワインの選び方は以下の4つのポイントに着目しましょう。
・ボルドーの左岸・右岸
・産地
・ブドウ品種
・当たり年
ではそれぞれ見ていきましょう!
ボルドーの左岸と右岸
ボルドー地方は大西洋に流れるジロンド川を挟んで右岸と左岸に分かれています。
ボルドー左岸の特徴
左岸は砂利質土壌で水はけがよく、砂利が太陽の熱をため込む事で保温性が高く、ブドウは時間をかけてゆっくりと熟成します。そのため、収穫の遅いカベルネソーヴィニヨンがよく育ちます。パワフルかつ、フルボディで非常にタンニンの強い強靭なワインが中心です。
ボルドー右岸の特徴
右岸は、主に粘土質土壌で冷たく保水性が高いのでメルローの栽培に適した土壌です。
右岸の赤ワインはメルロー主体のものが中心で、豊かな果実味に豊満で滑らかなボディ、タンニンは控えめでエレガントなワインが造られています。
ボルドーのワイン産地
ボルドー地方の主要な生産地は、メドック地区、グラーヴ地区、ソーテルヌ地区、サン・テミリオン地区、ポムロール地区、アントル・ドウ・メール地区の6つです。
それぞれの特徴をご紹介します。
メドック
ジロンド川の左岸一帯の地域です。
砂利質の土壌で、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインが有名です。
グラーヴ
グラーヴとは、フランス語で小石、砂利を意味しています。土壌はメドックに似ており、赤ワイン、白ワインともに上質なものが多いです。
ソーテルヌ
ガロンヌ川の支流、シロン川沿いの地域です。セミヨンの貴腐ワインが世界的に有名です。
ポムロール
ドルドーニュ川の右岸地域。粘土質と砂利質が混ざり合った土壌で、メルロー主体の赤ワインが有名です。
アントル・ドウ・メール
ガロンヌ川とドルドーニュ川に挟まれた地域。手軽に楽しめる早飲みタイプの辛口白ワインが多いです。
ボルドーワインのブドウ品種
ブレンドでワインが造られるボルドー地方。品種に関して基本を抑えておきましょう。
赤ワイン品種
赤ワインのブドウ品種は5つです。
世界を代表する赤品種カベルネ・ソーヴィニヨン
ガロンヌ川やジロンド川左岸のように、温暖で乾燥した気候で水はけの良い砂利質土壌を中心に栽培されています。
メドック&グラーヴ地区でブレンドの主体となる品種で、ボルドーらしいしっかりとしたタンニンを形成します。ミントを感じる植物的でさわやかな香りが特徴です。
清涼感ある香りのカベルネ・フラン
ドルドーニュ川右岸エリアで多く栽培されています。比較的しっかりめのタンニンを持ちますが、カベルネ・ソーヴィニヨンよりは軽め。カベルネ・ソーヴィニヨン以上に清涼感のある植物を感じる香りが特徴です。
特に冷涼な年に収穫されたものは「ピーマン」を思わせる特徴的な香りを持ちます。
ニュートラルな魅力のメルロ
ボルドー全体で最も栽培面積の多い品種です。ボルドーの大半の土壌で栽培可能ですが、特に粘土質で湿気の多い土壌に向きます。
ドルドーニュ川右岸エリアのサン・テミリオン、ポムロールで造られる赤ワインの主要品種です。
豊富なタンニンのマルベック
色が濃く、濃い果実味と豊富なタンニンが特徴。フランス・南西地方カオールやアルゼンチンでは主役を張る品種ですが、ボルドー地方ではあくまでもブレンドの脇役です。
渋い脇役プティ・ヴェルド
甘い芳香と酸味、しっかりとしたタンニンを持つ品種。その凝縮感とスパイシーさはボルドーワインの名バイプレイヤーです。
白ワイン品種
ボルドーの辛口白は、和食全般にとても合わせやすいワインです。
酸とミネラルは刺身や寿司にしっかり寄り添ってくれます。さわやかなアロマは、山菜・サラダ・おひたしなどの野菜料理にもぴったりでしょう。
ボディのしっかりした熟成感のあるものなら、丁寧に取られた出汁の旨みを味わう料理から焼き魚・お肉料理まで、幅広い守備範囲です。
さわやかな香りソーヴィニヨン・ブラン
フレッシュな酸味と、鮮やかな果実味が特徴。「さわやか」という表現にふさわしい味わいのワインです。
セミヨンとブレンドされることで、キリッとしながらもふくよかという相反する特徴を持ったワインになります。
貴腐ワインもセミヨン
ボルドー地方のソーテルヌ地区原産。この品種からは、辛口と甘口の両方で高品質ワインが造られます。
辛口の場合、ソーヴィニヨン・ブランとブレンドし、さわやかさとコクを持ったワインになります。和食にも合わせやすい味わいです。
貴腐菌が付着して貴腐ブドウになると、世界最高峰の極甘口ワインとなります。
控えめ酸のミュスカデル
ソーヴィニヨン・ブランやセミヨンに比べてやや地味な存在です。控えめな酸と花を感じる香りが特徴です。
ボルドーワインの当たり年
ブドウの出来栄えはその年の気候によって大きく異なります。そのため、ワインも生産年によって味わいは様々です。
グレートヴィンテージ(当たり年)とは、非常に恵まれた気候によりブドウの作柄が特に優れていたヴィンテージ(生産年)のことを指します。当然他のヴィンテージよりも価格は高くなります。
参考までにボルドーの優れたヴィンテージをご紹介します。
当たり年一覧 |
---|
1961☆ |
1962 |
1982☆ |
1985☆ |
1986 |
1988☆ |
1990☆ |
1998 |
2000 |
2001 |
2003 |
2005☆ |
2008 |
2009☆ |
2010☆ |
2014 |
2015☆ |
☆は特に秀逸
※ボルドー地方全体で見た際のヴィンテージチャートです。
(右岸左岸、また村やシャトーによっても微妙に異なります)
おすすめのボルドーワイン3選
ここではおすすめのボルドーワインを3選紹介します。
- ・高い
- ・飲み切るのが大変
- ・他と比較できない
という悩みがありますよね。
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1.ドメーヌ バロン ド ロートシルト サンテミリオンレゼルブスペシアル
ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルトが手掛けるワインの登場です。
メルローが主体の滑らかな口当たりと穏やかな酸味が特長のエレガントなワインです。
滑らかなボディは、優しい味付けの料理といただくことで、最大限楽しむことができます。
香り | カシス、キノコ |
酸味 | ★★★☆☆ |
ボディ | ★★★★☆ |
渋み | ★★★★☆ |
コメント | グラスに注ぐと非常に濃い色合い。ブラックベリーの香りが感じられとても複雑な味わい。大きめのボルドーグラスでお楽しみください。 |
2.シャトー・ペデスクロー
メドック格付け1級のうちラフィット、ムートン、ラトゥールのいずれかの畑で収穫されたブドウを使用して造られた一本。
どのシャトーは公表されておらず、ワイン好きの方への贈り物へ、ワイン会への持ち寄りにと、話題になること間違いなしです。
またフルボディのため、濃い味付けの料理とも相性が良いですよ。
赤ワインのボルドーワインについてさらに知りたい方は、こちらをご覧ください。
>>【ソムリエ監修】赤ワインの王道!ボルドーのおすすめ赤ワイン15選
香り | ブラックベリー、森 |
酸味 | ★★★☆☆ |
ボディ | ★★★★☆ |
渋み | ★★★★☆ |
コメント | 非常に重厚感のあるワインに仕上がっています。時間が経つにつれて味わいが変化していくので、ぜひゆっくりと味わいの変化もお楽しみください。 |
3.シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌ
「ソーテルヌの伝道師」と呼ばれるシャトー・ドワジー・ヴェドリーヌが手掛ける貴腐ワイン。
アカシアの花の香りにハチミツのアロマを感じられることが魅力となっており、蜜にたっぷりと浸ったトロピカル・フルーツのような味わいが、うっとりとする長い余韻を与えてくれます。
アペリティフとして、デザートワインとしても楽しめるワインです。
また、白ワインのボルドーワインについて詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
>>【ソムリエ監修】ボルドーのおすすめ白ワイン20選!特徴から選び方のコツも解説
香り | アプリコット、花の蜜 |
酸味 | ★☆☆☆☆ |
ボディ | ★★★★☆ |
コメント | グラスからは贅沢な甘い花の香りが感じられます。しっかりと冷やして食事の最後に贅沢な時間をお楽しみください。 |
ボルドーワインの美味しい飲み方
ここではボルドーワインの美味しい飲み方について紹介します。
今回は赤ワインのボルドーワインを中心に温度・グラス・デキャンタ・飲み方のコツを紹介していきます。
では解説していきます。
温度は16~20℃で保存しよう
赤ワインのボルドーワインは16〜20℃で保存しておきましょう。
赤ワインのボルドーワインは一般的に常温での保存と言われていますが、日本の気候だと16〜20℃で赤ワインを保存することで、タンニンの深みを感じることができ、美味しく飲むことができます。
また赤ワインの色の濃さで温度を微妙に調節することもおすすめです。
具体的には濃いボルドーワイン(フルボディ)は約20℃、対して薄いボルドーワイン(ライトボディ)は約16℃といった風にワインの色に合わせると、ボルドーワインの香りやコクがより強調されます。
しかし温度の調整は意外と難しいことが事実です。
保存は冷蔵庫だと16~20℃よりも冷えすぎてしまい、常温での保存も夏場であれば難しいでしょう。
そのためボルドーワインの保存には積極的にワインセラーやワインクーラーを利用することをおすすめします。
ワインセラーを利用すればボルドーワインはもちろん、白ワインなどの他のワインも適切に保存できます。
家庭用のワインセラーについてはコチラを参考にしてみてください。
>>【ソムリエセレクト】おすすめワインセラー17選!家庭用にはコレ!
白ワインのボルドーワインなら少し冷やして
白ワインタイプのボルドーワインの場合は赤ワインに比べて冷やして飲むことがおすすめです。
冷やすことによってボルドーワインのきめ細やかな味わいを感じられます。
具体的には6~8℃での保存がおすすめです。
また白ワインタイプのボルドーワインの保存にもワインセラーを使うと美味しさをキープできます。
口の広いグラスがおすすめ
赤ワインのボルドーワインを飲むときは口の広いグラスを用意しましょう。
タンニンを多く含むボルドーワインを飲むときは、ワイングラスの口が広いものを選ぶことで、香りをより楽しむことができます。
ワイングラスの口が広ければ広いほど、ボルドーワインの香りを強く感じることができ、早く酸化することによる香り・味わいの変化を感じやすい傾向があります。
よりこだわりたい方はボルドーワインのボディでグラスを使い分ける
ボルドーワインのグラスにこだわりたい方は、ボルドーワインのボディによってグラスを使い分けることがおすすめです。
ボルドーワインの色が濃い(フルボディ)ときはブルゴーニュ型やボルドー型、対して色が薄い(ライトボディ)ときは万能型のグラスを使いましょう。
ボルドーワインのボディによってグラスを使い分けることで本来の香りや味わいを風味を損なわずに楽しむことができます。
ただ1本しかグラスを選べない場合は、万能型グラスから選ぶとどのワインにも対応できるためおすすめです。
また、白ワインのボルドーワインを楽しむ際にも万能型グラスを用意しておくと、十分に楽しめます。
ぜひ自分に合ったワイングラスを選んでみてください。
>>【ソムリエセレクト】おすすめのワイングラス15選!種類とブランドも紹介
香りを楽しむために軽く回してみよう
赤ワインのボルドーワインを飲むときは、軽く回して香りを感じましょう。
ワインを回す行為は「スワリング」と呼ばれ、一般的に香りを楽しむために行われます。
スワリングをすることで、ボルドーワインごとの芳醇な香りやフレッシュさなどを感じられるため、味わいだけではなく香りも楽しめますよ。
スワリングをする際には、右利きの方であれば反時計回りにグラスを回すことを覚えておきましょう。
グラスを内側方向へ回すことで、万が一ワインがこぼれても対面の方に迷惑をかけることがありません。
また白ワインの場合は一般的にスワリングをしないため、白ワインのボルドーワインの場合はそのまま楽しむことがおすすめです。
マナーを守りながら、赤ワインの香りをスワリングでぜひ楽しんでください。
デキャンタでさらに楽しむ
赤ワインのボルドーワインを飲むときにはデキャンタを使うと、最大限楽しむことができます。
特に高級なボルドーワインにはデキャンタを使うことがおすすめです。
実際に高級なボルドーワインを飲んでも、デキャンタを使わなければ本来の味わいや香りが発揮されないケースもあります。
しかしデキャンタという言葉を知っていても、使い方や選び方がわからない方も多いでしょう。
デキャンタについてより詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてください。
>>デキャンタとは?使い方から、おすすめのデキャンタ10選をご紹介!
ボルドーワインと相性の良い料理
ここでは赤ワインのボルドーワインと相性の良い料理を紹介します。
今回はボルドーの左岸・右岸ごとを分けて紹介するので、ボルドーワインに合わせてマリアージュを選んでみてくださいね。
まずはフルボディが多い、左岸のボルドーワインと相性の良い料理から見ていきましょう。
・牛肉、豚肉をワインやトマトでじっくり煮込んだ料理
・すき焼き
・ワインを加えてよく煮込んだシチュー
・鹿肉ステーキ赤ワインソース
・濃厚なソースのハンバーグステーキ
左岸のボルドーワインはフルボディでタンニンの強いものが多いため、マリアージュとなる料理もインパクトある味付けが多いです。
具体的にはお肉を使ったハンバーガーや煮込み料理です。
ディナーの主菜となるような料理と合わせて楽しみましょう。
次は滑らかなボディの多い、右岸のボルドーワインと相性の良い料理です。
・カレーライス
・優しい味のシチュー
・エビチリ
・お好み焼き
右岸のボルドーワインは滑らかなボディ(ライト~ミディアム)が多いため、優しい味わいの料理と相性が良いです。
具体的にはハンバーグやカレーライス、エビチリなどが挙げられます。
ボルドーワインはボディによって味わいが異なるので、料理も合わせて選んでみてくださいね。
奥深いボルドーワインを楽しもう!
ボルドーワインの幅広さ・奥深さを少しでもご理解いただけましたか。
逸話・エピソードに事欠かないボルドーワイン。
ちょっとしたエピソードを覚えていると、ワインショップのセラーで見かけたときの見る目も変わってきます。
ひとくちにボルドーワインと言っても非常に奥深いものがあります。
ぜひ自分だけのボルドーワインの楽しみ方を見つけてくださいね。
>>【ソムリエ監修】ボルドーのおすすめ白ワイン20選!特徴から選び方のコツも解説
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