【ソムリエ監修】フランスのワインを徹底解説!産地やおすすめを紹介

2019/04/17 ワインの基礎知識

ワインの名産地と言えばフランスを思い浮かべる人も多いでしょう。

ワインを勉強するにあたって、一大産地であるフランスを欠かすことはできません。

今回はフランスワインについて産地や品種、格付けの解説から有名銘柄までを、ソムリエが丁寧に解説します。


記事の執筆者

佐々木 健太

J.S.A. ソムリエ・エクセレンス

ソムリエ/年間受講者数日本一を誇るカリスマワインスクール講師  21歳でソムリエ資格を取得。南フランスにある一つ星レストラン「Keisuke Matsushima」にて研鑽を積み、帰国後は南青山「L’AS」を経て、株式会社WINE TRAILを創業。ワインのサブスク「HOME WiNE」を手掛ける。YouTubeチャンネル「ソムリエ佐々木」を運営。第9回全日本最優秀ソムリエコンクールファイナリスト。

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フランスワインの基礎知識

ワイン生産地の代表格であるフランス。

そんなフランスについての基礎知識をこちらで確認していきましょう。

多様なワインが生産される

フランスは世界のワイン生産の中心地として知られています。

その魅力の一つは、非常に多様なワインが生産されている点にあります。

まずワインの種類には主に以下の4つのカテゴリがあります。

 

ワインの種類
・赤ワイン
・白ワイン
・ロゼワイン
・スパークリングワイン

フランスではこれらすべてのワインが生産されており、フランスの各地域でそれぞれ独自の発展を遂げています。

例えば、赤ワインであればボルドー地方、白ワインはブルゴーニュやアルザス地方、スパークリングワインはシャンパーニュ地方など。

また、フランスワインは味のバランスも非常に幅広く、甘口から辛口まで様々な種類があるのも特徴です。

辛口のワインは食事との相性が良く、フランス各地の様々な肉料理や魚料理とのマッチングを楽しむことができます。

甘口のワインは食後のデザートとして楽しまれることが多く、リーズナブルなものから超高級な銘柄までを有しています。

このような多様性は、フランスワインが世界中で愛され続けている理由の一つと言えるでしょう。

フランスの気候風土

フランスはワイン生産に適した多様な気候風土を持つ国として知られています。

その気候は、北部から南部、西部から東部までバラエティに富んでいるのが特徴。

フランスの気候風土は多様でありながらも一貫してブドウ栽培に適しているため、長い歴史を持つワイン産地として発展してきました。

それぞれの地域が持つ独特の気候や土壌の条件が、そのエリアで生産されるワインの特色や個性を形成しており、これがフランスワインの魅力の一部と言えるでしょう。

 

フランス北部

フランス北部のワイン産地と言えばシャンパーニュ地方。

シャンパンとして知られるスパークリングワインが生産されるこの地域は、年間気温が低い冷涼な環境です。

この厳しい条件下で育ったブドウから、繊細で酸味のあるスパークリングワインが生まれます。

 

フランス西部

フランス西部は大西洋に面した湿度の高い温暖な気候が特徴。

フランスの一大産地であるボルドー地方では、特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといった赤ワイン向けのブドウが主体となり、力強い濃厚な赤ワインが生まれます。

 

フランス南部

フランス南部は地中海に面した乾燥した温暖な気候が特徴です。

プロヴァンス地方やラングドック地方が有名で、太陽の恵みをいっぱいに受けたブドウからカジュアルで果実味溢れるワインが生産されています。

赤ワインのほか、ロゼワインの生産も盛んです。

 

フランス東部

フランス東部はドイツと隣接するアルザス地方が有名。

国境にある山々が冷涼な環境を生み出し、繊細でフルーティーな白ワインを生み出す産地として人気があります。

ワインの生産量・消費量

フランスはワイン大国として、ワインの生産や消費国としても世界的に有名です。

以下は、フランスのワインの生産量や消費量に関するデータの概要です。

 

ワインの生産量

フランスはイタリアやスペインと並び、世界のトップ3ワイン生産国の一つです。

年によって順位の変動はありますが、おおよそ毎年4,500万リットルのワインを生産しています。

 

ワインの消費量

フランスはワインの大消費国でもあり、1人あたりの年間消費量は約40〜50リットルです。

多くのフランス人が日常の食事にワインを添えて楽しんでいることを示していることがわかります。

しかし、フランス人のワイン離れが進んでおり、最盛期の1926年と比較して1/3程度に下がっています。

 

ワインの輸出金額

フランスワインの輸出量は年間約40億ユーロ以上で世界トップ

主な輸出先はアメリカ、イギリス、ドイツなどで、フランスワインは世界中で高い人気を保持しています。

シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュの三大銘醸地が輸出を牽引しています。

なお、金額ではなく輸出量ベースではイタリア、スペインに次ぐ第3位です。

輸出量よりも金額が高いことから、フランスワインはブランド価値があり高値で取り引きされていることがわかるでしょう。

フランスのワイン産地と地図・特徴

フランスは全土にワイン産地が散らばっており、それぞれに個性豊かなワインを生産しています。

各地域ごとにご紹介します。

 

ボルドー(Bordeaux)

フランスの約1/4のワインを生産すると言われる地域です。

銘醸地としても非常に有名な地域で、生産されるワインの7割は赤ワインです。

 

ブレンドワイン

ボルドーワインの最大の特徴は、複数のブドウ品種をブレンドする製法です。

使用されるのはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー・カベルネ・フランの3品種。

 

右岸と左岸で変わる味わい

ボルドーはジロンド川を挟み、粘土質な土壌の右岸と砂利質な土壌の左岸で特徴が大きく異なります。

左岸は大規模なシャトーによる、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたワインが多いのが特徴。

右岸は小規模なシャトーによるメルロー、カベルネ・フランを主体とした赤ワインが生産される。

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ブルゴーニュ(Bourgogne)

ボルドーとともに、フランスの大きな銘醸地のひとつ。

ワイン造りの歴史も古く、ローマ時代に遡ります。

高級赤ワインのロマネ・コンティもブルゴーニュ産です。

 

単一品種のワイン造り

ブルゴーニュはボルドーと違い、単一品種からワインが造られるのが特徴です。

主要品種は、ピノ・ノワール、シャルドネ、ガメイです。

 

畑ごとや造り手の違いが個性を産む

単一品種でのワインのため、テロワールや造り手の違いがワインに大きな違いを与えます。

そのため、ワインの格付けも畑単位で区分けされています。

【ソムリエ監修】ブルゴーニュワインの特徴は?人気おすすめ10選も紹介

 

コート・デュ・ローヌ(Cotes du Rhone)

気候は温暖

ローヌ川を中心とした南北に長いワイン産地。

太陽の恵み豊かでスパイシーな味わいのワインが多くあります。

 

北ローヌと南ローヌ

北ローヌは一般的に単一品種で造られ、ヴィオニエのやや甘口の白ワインやシラー主体の赤ワインが多いです。

南ローヌは、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなど複数品種をブレンドした赤ワインが造られます。

 

シャンパーニュ(Champagne)

シャンパンの産地

日本で「シャンパン」と呼ばれるスパークリングワインのみが造られる産地です。

シャンパンとは、シャンパーニュ地方の特定地域で瓶内二次発酵という製法で造られたスパークリングワインのことを指します。

それ以外はシャンパン(シャンパーニュ)を名乗ることが禁止されています。

ちなみに、シャンパーニュはフランス語で、英語の「シャンペン」が日本では「シャンパン」という呼び名に変わり、浸透しています。

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アルザス(Alsace)

白ワインの産地

白ワインの生産が全体の95%を占めており、スッキリと華やかな白ワインが生まれます。

ライン川を挟んでドイツと国境を接し、中世初期頃からライン川を中心とした河川交易の拠点が形作られていた土地です。

そのため、ドイツとフランスの両方の文化が根付き、ワインもドイツの影響が色濃い地域です。

 

単一品種による白ワイン

アルザスの白ワインは単一品種で造られるのが特徴です。

使用される品種は、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ミュスカ、ピノグリです。

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ロワール(Loire)

ロワールとはフランス最長のロワール川の中流から下流にかけて広がる産地を指します。

広大なため、ロワールワインと言ってもその特徴を捉えにくいです。

 

安価で単一品種が中心

ロワールのワインは他の地域と比べると、比較的安価で単一品種のものが中心です。

使用される品種は、赤ワインはカベルネ・フラン、ピノ・ノワール。

白ワインは、シュナン・ブラン、ミュスカデ、ソーヴィニヨン・ブラン。

ロゼワインはグロローです。

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ラングドック・ルーション(Languedoc-Roussillon)

フランス最大のワイン産地

ラングドック・ルーションは、フランスで最も広いワイン産地です。

フランスではミディという愛称で呼ばれている地域で、古代ローマ時代からのワイン産地でもあり歴史は古いです。

 

大量生産から質重視のワイン造りへ

19〜20世紀後半まで、安めのワインの大量生産地域でしたが、近年ではその恵まれた気候条件のもとで良質で手頃なワインが造られるようになっています。

フランス全体の38%の栽培面積を誇ります。

赤ワイン、ロゼワインと白ワインの生産比率は8:2で、ふくよかな赤ワインやロゼワインの産地として知られています。

栽培品種はシラー、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルです。

 

プロヴァンス(Provence)

ロゼワインの世界的産地

世界的に有名なロゼワインの産地であり、フランス最大のロゼワイン産地です。

生産されるワインの約9割が辛口のロゼワインです。

栽培品種は、シラー、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルなど。

 

ロゼワインの生産地であり、消費もされる

プロヴァンスワインの販売先の約9割はフランス国内で、そのうち4割がプロヴァンスで消費されています。

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ジュラ・サヴォワ(Jura Savoie)

栽培されるワインの90%以上がA.O.Cであるのが特徴です。

白ブドウはサヴァニャン(ナチュレ)、シャルドネ、黒ブドウはプールサール、トゥルソー、ピノ・ノワールです。

 

南西地方

歴史的、文化的にはガスコーニュ地方と呼ばれる地域。

ボルドーの南からバスク・ピレネー地域に点在するように広がっており、ワインも当然一様ではありませんが、近年品質の高いものを生み出すようになっています。

ボルドーと同じ品種を使っていますが、この地方特有の品種を見直し、オリジナリティあふれるワインを作っています。

栽培品種はタナ、フェール・セルヴァドゥなど。

 

フランスワインのブドウ品種

フランスで育てられているブドウはとてもバラエティが豊富です。

その地域ごとに育てられているブドウは違い、それぞれが個性豊かなワインを生み出しています。

赤ワインに用いられる黒ブドウと、白ワインに用いられる白ブドウをそれぞれご紹介します。

 

黒ブドウ

カベルネ・ソーヴィニヨン

ボルドーの主力品種で、世界的にも育てられている赤ワイン用の代表的な品種。

深みのある色合いで、しっかりとしたタンニン、ボディのしっかりした、酸と渋みのバランスの取れたワインが出来上がります。

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カベルネ・フラン

ボルドーの主力品種で、世界的にも育てられている赤ワイン用の品種。

カベルネ・ソーヴィニヨンと似ていますが、よりやわらかくソフトなニュアンスのワインに仕上がります。

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メルロー

ボルドーの主力品種で、世界的にも育てられている赤ワイン用の代表的な品種のひとつ。

カベルネ・ソーヴィニヨンに比べると色は赤みがかり、プルーンなどの黒い果物が熟した香りがするワインが出来上がります。

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ピノ・ノワール

ブルゴーニュの主力品種で、世界的にも育てられている赤ワイン用の代表的な品種。

フルーティーで渋みやタンニンが少なく、色もルビー色の美しいワインが出来上がります。

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シラー

コート・デュ・ローヌの主力品種で、世界各地で育てられている赤ワイン用の代表的な品種。

フルーティーさとタンニンのバランスが良く、コクがあり力強い味わいの赤ワインが出来上がります。

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白ブドウ品種

シャルドネ

ブルゴーニュで栽培される白ワイン用品種。世界各国で育てられている白ワイン用の代表的な品種のひとつです。

クセがなくニュートラルな味わいのため、造り手の個性が出やすいワイン用ブドウです。

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ソーヴィニヨン・ブラン


ボルドーやロワールで栽培されている白ワイン用の品種。世界各国で造られています。

青草やハーブのような香り、グレープフルーツなどの香りがあるのが特徴のワインが出来上がります。

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セミヨン

主にボルドーのソーテルヌ地方などで育てられている白ワイン用の品種。世界各地で育てられています。

果皮が薄く、貴腐菌がつきやすいことで知られています。糖度は高くなりますが、酸が少ないと言われています。

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リースリング


ドイツを代表する白ワイン用ブドウ品種で、アルザスで育てられています。

しっかりとした酸味と上品な香りが特徴で、甘口から辛口まで造られるブドウ品種のひとつです。

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フランスワインの格付け

フランスには国で定められているワイン法があり、2008年まではA.O.C.法、2009年からはA.O.P.法と呼ばれています。

ワインは3つの分類に分けられ、その頂点がA.O.P.、その次にI.G.P.、最後にヴァン・ド・ターブルという区分に分けられます。

また、ボルドーやブルゴーニュなど、ワイン産地独自の格付け制度もいくつかあります。

 

フランス全体の格付け

A.O.P.【原産地呼称保護ワイン】

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A.O.P.に分類されるワインは、ブドウの生産地や栽培方法、使用品種が決められており、その上官能検査に合格したもの。

いわばエリートのワインたちで、日本に輸入されるワインのほとんどがこの格付けのワインになります。

価格は1000円ほどから100万円を超えるものまでさまざまです。

 

I.G.P.【地理的表示保護ワイン】

I.G.P.はいわゆる「地酒」と呼ばれるようなワインです。

生産地域や使用品種などが定められていますが、A.O.Pに比べると保護する区分けが広く、規定も緩やかなものになっています。

 

ヴァン・ド・ターブル

ヴァン・ド・ターブルは、気軽なテーブルワインとして生産地域の表示がありません。比較的自由に造られています。

生産者の意向により、規定をクリアしない栽培品種や醸造方法を用いて、本来なら上級のワインにまさるほどの品質なのに、あえてヴァン・ド・ターブルで販売する、というケースもあります。

地域ごとの格付け

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フランスには独自の格付け制度を採用しているワイン産地があります。

以下に代表的なワイン産地の格付け制度を簡単にご紹介します。

 

メドックの格付け

メドックの格付けはボルドーの格付けとして知られている、フランスワインの看板とも言える格付け制度です。

主に赤ワイン生産のシャトーを対象とし、品質や価格の実績に基づいて5つの階級に分類されています。

メドック地区はボルドーの左岸に位置し、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたフルボディな赤ワインの産地です。

1855年のパリ万国博覧会の際にボルドーの格付けは制定され、5大シャトーと呼ばれる第一級のシャトーは一部の例外を除いては現在に至るまで変更がありません。

 

ボルドーの格付け制度
第一級シャトー
第二級シャトー
第三級シャトー
第四級シャトー
第五級シャトー

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ブルゴーニュの格付け

ブルゴーニュ地方の格付け制度は、ワインの品質がその土地の特性によって決まるという考え方に基づいています。

このためブルゴーニュの格付けは生産者ではなく、土地、特に畑の位置や特性に焦点を当てているのが特徴です。

ボルドーと異なり、赤ワインだけでなく白ワインの格付けワインも存在します。

 

ブルゴーニュの格付け制度
グラン・クリュ (特級畑)
プルミエ・クリュ (一級畑)
ヴィラージュ (村名)
レジョナル

 

サンテミリオンの格付け

サンテミリオンはボルドー地方の右岸に位置し、主にメルローやカベルネ・フランを使用した赤ワインが生産されています。

サンテミリオンの格付けの最も大きな特徴は、約10年ごとに見直しが行われるところ。

そのためサンテミリオンでは生産者が上位の格付けを狙うため、ワイン醸造の技術向上に積極的に取り組んでいます。

 

サンテミリオンの格付け制度
プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA
プルミエ・グラン・クリュ・クラッセB
グラン・クリュ・クラッセ

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ソーテルヌの格付け

ソーテルヌはボルドー地方の南部に位置する地域で、高品質な甘口白ワインで知られています。

「貴腐菌」という特殊なカビ菌を繁殖させたブドウで仕込む、極甘口の貴腐ワインの産地として有名です。

ソーテルヌの格付けは1855年のボルドーの格付けの際に行われました。

 

ソーテルヌの格付け制度
特別一級:このカテゴリーには「シャトー・ディケム」のみが位置づけられています。
第一級
第二級

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フランスワインの今と歴史

フランスワインは現在に至るまで非常に長い歴史をたどってきました。

こちらでその歴史を簡単に振り返っていきましょう。

始まりは紀元前600年の南フランス

ワインといえばフランスを思い浮かべるかもしれませんがワインはフランスで生まれたお酒ではありません

その歴史はとても古く、古代メソポタミアにその起源があります。

そのワインがフランスにもたらされたのは紀元前600年頃のこと。

地中海を制覇したフェニキア人がマルセイユに上陸し、南フランスの一帯にブドウを植えたのが最初だと言われています。

その後、ギリシャ人や古代ローマ人の侵入や支配、そしてキリスト教の布教とともにブドウ栽培とワイン造りはフランス全土へと広まっていきました。

宮廷文化が花開かせたワインの歴史

フランス王朝がルイ14世の手で華やかな宮廷文化を花開かせた17世紀、宮廷の食卓を飾ったのはブルゴーニュのワインでした。

宗教の力が強かった当時のブルゴーニュでは、領主たちが競うように修道院にブドウ畑を寄進したため、優れたブドウ畑はほとんどが修道院のものとなります。

修道僧たちは自らの手でブドウ畑を耕し、ワイン造りにエネルギーを注ぎ込みました。

それが今のワイン造りの基礎ともなっています。

その後、1789年にフランス革命が起こり、修道院が所有していたブドウ畑はすべて国が没収することになりました。

そこから高品質なブルゴーニュワインは競売に掛けられ細かく分割されていったことが、現在の畑の細分化と、ドメーヌの手による多様なワイン造りにつながっています。

ボルドーのシャトーを守ったネゴシアン

一方、もうひとつの銘醸地であるボルドーは、修道院による専制が進んでいなかったため、領主の邸宅を中心とした大きな荘園が発達

それが現在のシャトーとして知られるようになっていきました。

ボルドーのシャトーもフランス革命時には国に没収されましたが、資力のあったネゴシアンたちが優れた畑を自分たちの手で納め、その一方で亡命貴族がシャトーの細分化を防ぐ努力をしました。

こうしたことから当時のシャトーがフランスワインの歴史に名を刻んでいるのです。

品質の高いワインを産み出していたフランスに一つの試練が訪れたのは19世紀後半。

アメリカ大陸からやってきたフィロキセラという害虫により、ブドウの樹が全滅の危機に陥りました。

このことからワインが不足し、不正が行われて偽ワインがフランス中で流通することに。

こうしたことを取り除くために、1889年にワイン法が制定されます。

さらに1935年には原産地呼称などが制定され、明確な位置づけが行われました。

こうしてフランスはバラエティ豊かで高品質なワインを生み出す産地として、その確固たる地位を現在も守っているのです。

有名なフランスのワイン銘柄

フランスワインの銘柄には数多くのものがありますが、ここではフランスワインの中でも有名なものをご紹介します。

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ボルドーの有名銘柄

シャトー・ムートン・ロートシルト

ボルドー地方、メドックの格付け第1級シャトーのワインです。

フランス5大シャトーのひとつで、偉大なワインとして知られています。

5大シャトーの中で唯一、例外的に第2級からの昇格を果たした「復活のワイン」としても有名です。

1946年以降のラベルは、毎年世界の著名な画家や彫刻家がデザインしており、ラベルの絵の人気がオークションの価格を左右するとも言われています。

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シャトー・ディケム

ボルドー地方、ソーテルヌの格付けの特別第一級シャトー。

貴腐葡萄から造られる極甘口のワインの中でも、最高級の品質を誇る生産者として知られています。

その官能的とも表現される甘美な味わいのワインは、他の追随を許さない別格の品質です。

不作の年には造られず、良いヴィンテージのものは熟成に20年以上かかると言われています。

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ブルゴーニュの有名銘柄

ロマネ・コンティ

ブルゴーニュ地方、ヴォーヌ・ロマネ村にある世界で最も高額なワインです。

ブルゴーニュの格付けで最も有名なグラン・クリュのワインと言えるでしょう。

畑の大きさは1.8haしかなくワインの平均年産は6000本程度と、世界的に見てもごく少量のため希少性が非常に高いです。

入手困難度は間違いなくトップレベルなので、人生で一度は飲んでみたいワインの筆頭格と言えます。

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モンラッシェ

モンラッシェはブルゴーニュ地方のコート・ド・ボーヌ地区の高級白ワインです。

特級畑であるグラン・クリュのシャルドネを使用しており、複雑で豊かなアロマとバニラやトーストの風味、さらにはクリーミーなバターのニュアンスを持ちます。

濃厚な風味がありつつ、豊かな酸味やミネラル感もあることから非常に完成度が高いと評価されています。

モンラッシェの畑は、ピュリニー・モンラッシェ村とシャサーニュ・モンラッシェ村をまたがるように位置しているのが特徴です。

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シャンパーニュの有名銘柄

ドン・ペリニヨン

フランスのモエ・エ・シャンドン社が造るシャンパーニュ。

シャンパーニュを発明したとされるベネディクト会の修道士、ドン・ペリニヨンにちなんで名付けられたシャンパーニュ。

発酵中のワインに栓をして放置したところ、偶然シャンパーニュができたと言われています。

5種類の製造方法のものが現在販売されています。

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モエ・エ・シャンドン

モエ・エ・シャンドンは日本で最も知名度の高いシャンパーニュのひとつです。

エレガントでフルーティーな風味と繊細な泡立ちが感じられつつ、ロゼや甘口、ヴィンテージなどバリエーションの多さも魅力。

日本ではキャバクラやホストクラブで定番のシャンパーニュとして定着しています。

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フランスワインと料理

フランスワインと切っても切り離せないのが料理との組み合わせ。

ワインは高級品と思われがちですが、ワインは市民生活と紐づいてここまで発展してきました。

こちらではフランスの名物や名産品を紹介しつつ、ワインとの組み合わせも合わせて解説していきます。

鴨肉のロースト

鴨肉のローストは鴨のジューシーな肉質と香ばしい皮を楽しむフランスの伝統的な料理です。

鴨肉はその独特の風味としっかりとした食感が特徴であり、様々なソースや香辛料との相性が良いのが魅力です。

合わせるワインはピノ・ノワールを使用したブルゴーニュの赤ワインが定番。

独特の風味を持つ鴨肉の脂身には、程よく渋味があり熟成間のある赤ワインを合わせると良いでしょう。

ブッフ・ブルギニョン

ブッフ・ブルギニョンは、フランスのブルゴーニュ地方の伝統的な煮込み料理。

牛肉を赤ワインやブイヨンでじっくりと煮込み、玉ねぎやマッシュルームを加えて風味を深める一品です。

合わせるワインはブルゴーニュの赤ワインはもちろん、味付けや煮込み具合によって合わせるワインを代えると良いでしょう。

あっさりした味わいならピノ・ノワール、濃い目の味わいならボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインを合わせるのがおすすめ。

フォアグラ

フォアグラはフランス料理でポピュラーな食材です。

口の中でとろけるリッチでクリーミーな味わいは、ワインと合わせることでより上質なものへと変化します。

フォアグラとワインを合わせる上で、外せないのが甘口ワインとの組み合わせ。

ソーテルヌの貴腐ワイン、アルザスの甘口ワインなど合わせると、濃厚なフォアグラに甘さと酸味が加わることで味わいに奥行きが出ます。

舌平目のムニエル

舌平目のムニエルはフランス料理のメインとして人気の逸品。

バターで焼き上げるシンプルながらも風味豊かな味わいが楽しめる料理です。

舌平目のムニエルには熟成感のある白ワインがおすすめ。

樽熟成をしたブルゴーニュのシャルドネや、ボルドーの白ワイン、シャンパーニュなどを合わせると良いでしょう。

生牡蠣

フランスは牡蠣の養殖も盛んで、ノルマンディーやブルターニュなどの北西部が牡蠣の名産地として有名です。

牡蠣の食べ方としては生牡蠣が親しまれており、生牡蠣のお供にワインは外せません。

新鮮な生牡蠣には、フレッシュで酸味やミネラル感のある白ワインを合わせたいところ。

ブルゴーニュのシャブリやロワールのミュスカデ、スパークリングワイン全般と好相性です。

ブイヤベース

ブイヤベースは、南フランス・マルセイユ地方の伝統的な魚介の煮込み料理です。

さまざまな魚介類をトマトやハーブ、スパイスと煮込んだブイヤベースは、シンプルながら深い味わいを楽しむことができます。

ブイヤベースには、プロヴァンスやラングドック地方の白ワインやロゼワインがよく合います。

果実味豊かなカジュアルタイプのワインの方が、ブイヤベースには合いやすいでしょう。

ラタトゥイユ

ラタトゥイユは、南フランス・プロヴァンス地方の伝統的な野菜料理です。

ナス、ズッキーニ、トマトなどの夏野菜をオリーブオイルで炒め、ハーブの香りを効かせた一品です。

ラタトゥイユに合わせるのは赤ワインや白ワインどちらでも合いますが、高級ワインではなくカジュアルタイプを合わせるのがおすすめ。

太陽の恵みを受けた夏野菜を材料としているため、合わせるワインも果実味豊かな南フランス産のものが良いでしょう。

エスカルゴ

エスカルゴは食用のカタツムリで、ブルゴーニュを中心に親しまれている食材です。

バターやニンニク、パセリを使ったソースで煮込み、オーブンで焼き上げる「ブルゴーニュ風」の調理方法がポピュラー。

エスカルゴには、ブルゴーニュのシャルドネが非常に良く合います。

爽快な酸味とミネラル感がエスカルゴの味わいを引き締め、樽熟成の風味がバターと相性ピッタリです。

チーズ

フランスにはワイン同様に多種多様なチーズがあります。

こちらでフランスを代表するチーズと、それに合うフランスのワインをご紹介します。

 

ブリー

ブリーは、クリーミーで滑らかなテクスチャの白カビチーズで、フランスのイル=ド=フランス地域で生産されています。

ブリーにはブルゴーニュのシャルドネやシャンパーニュなど、辛口で酸味の効いた白ワインが良く合います。

また、渋味が控えめなボージョレーやピノ・ノワールなどの赤ワインもオススメです。

 

 ロックフォール

ロックフォールは羊乳で作られるブルーチーズで、強い塩味と特有の香りがあります。

塩味の強いロックフォールには、ソーテルヌの貴腐ワインなどの甘口ワインを合わせるのが最適です。

 

カマンベール

カマンベールはクリーミーで濃厚な白カビチーズで、ノルマンディー地方で生産されています。

カマンベールに合わせるワインは、カマンベールの熟成度合いによって選ぶと良いでしょう。

フレッシュなカマンベールにはフルーティーな白ワインや軽めの赤ワイン、熟成が進んだものには樽熟成のシャルドネやメルローの赤ワインなどがおすすめ。

 

コンテ

コンテは旨味と塩味が凝縮されたハードチーズで、ジュラ地方で生産されています。

コンテは味わいが濃くクセも少ないので、フルーティーな辛口白ワインからミディアムボディの赤ワインまで幅広く合わせることができます。

熟成することでナッツのような香ばしさが生まれるのが特徴なので、熟成したコンテには同じく熟成したシャンパーニュを合わせるのがおすすめ。

フランスワインはバラエティ豊かで奥深い!

フランスのワインについて、歴史や品種、産地、格付け、銘柄を解説してきましたが、いかがでしたか?

フランスのワインはまだまだ深いので、産地を深掘りしてみたりさらに追求していくことをおすすめします。

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